【浦和】キャプテン阿部が"あるシーン"に見出したリーグ優勝への道しるべ

2016年09月27日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「ここからの試合は、(選手とサポーターが)ひとつになって戦っていかないといけない」。

広島戦ではチームトップの11.080kmを走破。キャプテンとしてゲームをコントロールし、チャンピオンシップ進出決定に貢献した。 (C)SOCCER DIGEST

[J1第2ステージ13節]浦和3-0広島/9月25日/埼玉
 
 3-0で勝利を飾った広島戦、キャプテンの阿部勇樹はチーム全員、そしてサポーターが一体となって戦えたことに充実感を覚えていた。ライバルを下したことよりも、チャンピオンシップ進出を決めたことよりも、意義があると――。
 
 サポーターとの"融合"が肌で感じられたのは、32分に広島のピーター・ウタカがPKを外したシーンである。宇賀神友弥が「雰囲気が凄かった」と振り返るように、スタンドを埋め尽くしたサポーターは、ゴールを"守るべく"大声を張り上げてキッカーにプレッシャーをかけ、ミスを誘発した。まさに「サポーターが助けてくれたプレーだった」(西川周作)と言えるだろう。阿部は静かな口調で想いを綴っていく。
 
「俺も昔、相手として(PKを)蹴ったことがあるけど、まあ嫌だったんじゃないですかね。味方として本当に頼もしいなと。ああいったシーンで相手が外してくれて、その後に点を取ってしっかり勝てたのは、『ひとつになって戦えたな』というふうに思える」
 
 ひとつになって戦う――。その言葉を聞いて思い出すのが、2015年3月のACL2節・ブリスベン・ロアー戦だ。シーズン開幕から公式戦3連敗を喫し、試合後にスタンドから猛烈なブーイングと野次が飛ぶと、普段は物静かな阿部がサポーターに人差し指を高く掲げて、「勝つために俺たちも頑張るから、一緒に闘ってよ!」と訴えた。その後、浦和がリーグ戦で19戦無敗と突っ走ったのは記憶に新しい。誰よりも一丸となる大切さを知る男だけに、その言葉にはより重みがある。
 
「ここからの試合は、(選手とサポーターが)ひとつになって戦っていかないといけない」

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