自動昇格もついに射程圏内!! 清水は「5位、6位をさまようチーム」から決別できるか?

2016年09月20日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「自分たちの力を信じると、こういうことができる」(小林監督)。

32節の水戸戦で今季初の3連勝を達成。シーズンが佳境を迎えるにつれ、チームは軌道に乗り始めた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 9月18日のJ2・32節水戸戦で、清水は1-1で迎えた終了間際にCKからDFビョン・ジュンボンが逆転弾を押し込み、土壇場で勝点3を手にした。
 
 この結果、順位は5→4位へ浮上。自動昇格圏となる2位松本との勝点差は、6→4に詰まった。1年でのJ1復帰を掲げる清水にとって、大きな勝利だったのは改めて言うまでもない。
 
 同時に、チームはこれまで立ちはだかってきた「ひとつの壁」を取り払った。その‟壁゛とは、FW鄭大世の言葉を借りればこうなる。
 
「今季はまだ3連勝がない。そこの壁を突破できて、初めて上が見えてくる。これが2連勝で終わるようなら、5位や6位を行き来しているチームで終わってしまう」
 
 ふたつ前の横浜FC戦(2-0)、そして、ひとつ前の山形戦(3-1)をモノにした今の清水には確かに勢いがある。ただし、勝負強さとなると話は別で、今季は「ここぞ」の試合で勝ち切れず中位を彷徨ってきた。つまり、水戸戦はひとつの真価が試された一戦だったのだ。
 
 案の定と言うべきか、試合は主導権を握りながらも66分に先制を許す苦しい展開となる。交代カードをフル活用して攻勢を強めても「1点取られて、いくつかチャンスがあったが、ゴールがなかなか取れなかった」(小林伸二監督)。そんな状況を前にすると、これまでならば攻めあぐねてしまうのが常だった。
 
 それでも、「自分たちの力を信じると、こういうことができる」(小林監督)のが過去との違いであり、セットプレー(CKから2得点)を活かして勝ち切ったところにチームの進化が見て取れる。チームは、今まさに‟ノッテいる"と言えるだろう。
 
 実際、小林監督も「今後アウェーがふたつあるというところで、今日のホームは凄く大きかった。前に進むということと同時に、(守備が)堅い水戸に対して、2点取ってこじ開けたというのも、もの凄く良かったと思う」と、確かな手応えを掴んだようだ。
 
 しかし、これで「5位や6位を行き来しているチーム」(鄭大世)ではないと結論づけるのは早計だろう。次なる壁、つまり、次節以降に控える松本(2位)、C大阪(3位)との2試合で上手く勝点を積み重ねられないようだと、出戻りを余儀なくされる可能性もあるからだ。
 
 あくまで「(次節の)松本戦につながる」(大前元紀)1勝を掴んだに過ぎない。ただし、今季初の3連勝によって、上位を脅かす立場であることをはっきりと証明したのも確かだろう。

文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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