ハリルジャパンに推薦したい"飛び道具"。柏戦で見せた藤田直之の凄み

2016年09月19日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

得点には至らなかったが、高精度のセットプレーで何度も決定機を演出した。

藤田の高精度のプレースキックは代表でも通用するはず。ただ、終盤でも精度を落とさないことは課題だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選を戦う日本代表。9月に行なわれた2試合は、UAEに敗れ、タイには勝利したものの、決定力不足を露呈した。いまいちピリッとしないハリルジャパンに、救世主の登場を待望する声も挙がる。
 
 そこで推したいのが、神戸の藤田直之だ。
 
 昨季は鳥栖でキャプテンを務め、リーグ2位の10アシスト。今季加入した神戸でも現在6アシストと結果を残している。しかし、代表では昨年の東アジアカップに招集されて以降、声がかかっていない。
 
 再び呼ぶべきではないだろうか。柏戦での藤田のパフォーマンスはそう思わせるものだった。
 
 なにより特筆したいのが、キック精度の高さだ。柏戦は88分にレアンドロのゴールで同点に追いついたが、押されていた時間でも得点の匂いを感じさせたのが、藤田のCKだった。
 
「最初のほうは中の注文通り蹴れていたという感触はあった。蹴った感じの軌道とか、中に入ってくる選手のタイミングとか、入りそうな感じはあった」と藤田自身も手応えを口にする。その右足から放たれる高精度のボールは、得点には至らなかったが、中で合わせた選手のヘッドが枠に行っていれば、3、4点は望めたはずで、確実に柏の脅威となっていた。
 
 ただ、後半には疲労から精度を欠いたのは課題でもある。
 
「タク(岩波拓也)がクリスティアーノを越えたところを要求していたので、そこに2本連続くらい蹴れていた。ただ後半の最後らへんは、自分が精度を欠いてしまった。終盤きつい時間でも良いボールを入れないといけない。
 
 相手の選手も大きいですし、なかなか簡単にやらせてくれないですけど、そういうのを自分がより良いボールを蹴り続けることで、中の選手も信じて入ってくれると思います。そういう信頼関係は大事だと思うので、自分はこれからもしっかりと良いボールを蹴っていければ、点が入っていくんじゃないかなと思います」
 
 そう藤田は反省する。もちろん、代表には清武弘嗣など他にもキックの正確性に優れる選手がおり、さらにキック精度を向上させる必要はあるが、藤田を推す理由はプレースキックだけではない。

次ページ〝飛び道具″を揃える藤田こそ、代表の課題に一石を投じる存在。

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