【川崎】10人でも主導権を握れた事実。最後の最後に沈んだ試合をどう受け止めるか

2016年09月18日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「荒れる必要はなかった。いつものことだから」(中村憲剛)

勝たなければいけなかった試合で逆転負け。10人で戦えた手応えを感じつつ、中村は周囲に奮起を促す。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ12節]大宮 3-2 川崎/9月17日/熊谷陸
 
「自らでスタートからゲームを壊してしまった」(風間八宏監督)
 
 勝てばチャンピオンシップ出場が決まる試合で、2-3と敗戦。第2ステージ首位の座を譲り渡すとともに、年間勝点でも2位の浦和に2差まで詰められてしまった。
 
 たった36分しかピッチにいられなかった大久保嘉人の退場を受け、数的不利を強いられながらの逆転劇を演じてから、さらなるどんでん返し。ラスト6分で景色は暗転した。
 
「荒れる必要はなかった。ちょっとアフター気味に相手はきていたけど、それはそれ。いつものことだから。今日に限って(大久保)嘉人が乗っちゃったのが、不思議でしょうがない」(中村憲剛)
 
 エースが去ったことで試合運びは難しくなった。63分に絶妙なポジショニングとトラップから技ありの同点弾を沈めたチームの象徴、中村はさらに言葉を紡ぐ。
 
「非常に後味の悪い試合になったけど、負けたのは事実。その理由も自分たちにある。もったいない」
 
 審判が十分にゲームコントロールをできなかった展開のなかで、それでもJ1"最強の矛"はひるむことなく大宮を相手陣に押し込み続けた。それは10人になっても変わらない。

 44分にPKによる先制点こそ献上したものの、自分たちを信じて、攻撃を続けた。81分には小林悠が、ついに試合をひっくり返すゴールを決めている。
 
 しかし、最後は「力尽きてしまった」(風間監督)。大島も「どう戦うかを間違えたかな、というのはある。エネルギーをすごく使っていた」と最終盤の難しさを口にする。
 
「勝ちゲームだった」(谷口)かもしない。ただ、どれだけ悔やんでも、この敗戦を取り戻すことはできない。変えられるのは過去ではなく、常に未来だ。
 
「悔しい試合だったと思うだけで先に進むのか。それとも10人でも戦えた、それなら11人ならもっとやれると考えるのか。自分たちがやるか、やらないかというだけ」
 
 中村は奮起を促す。常に主導権を握って戦えたことを誇れと語りかける。そんな背番号14の言葉は重く、力強い。あとは、どれだけの選手が共鳴するか――。次節・横浜戦がリーグタイトルへの分水嶺となるかもしれない。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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