久保建英のすべて<4>――「将来はイニエスタのような選手に」(元スペイン代表・フラン)

2016年09月17日 サッカーダイジェスト編集部

「タケは1年前と比べてずいぶん成長していたよ」(元チームメイトの少年)

FC東京でも飛び級でU-18に在籍。今夏のクラブユース選手権優勝に貢献すると、9月16日にはトップチームに2種登録された。Jデビューに期待が高まる。写真:石倉愛子

 バルサは今も、順調に成長を続ける久保を見守り続けている。現在、カンテラのトップに立つのは、ジョルディ・ロウラとアウレリ・アルティミラだ。彼らは定期的にスタッフを日本に派遣し、久保の成長ぶりをチェックしているのだ。
 
今年4月、久保は1年ぶりにバルセロナへと戻った。2週間の滞在中には、クリスティアン・カテナ監督率いるカデーテB(15~16歳のカテゴリー)の元チームメイトたちと一緒に練習もしている。その中のある少年は、こんなふうに話してくれた。
 
「タケは1年前と比べてずいぶん成長していたよ。フィジカルが強くなったけど、あのスピードも失っていない。ボールを持った時は、相変わらずスペクタクルだったしね」
 
 スペイン・サッカー界が生んだ有数のタレントであるフラン(デポルティボ・ラ・コルーニャで活躍した元スペイン代表MF)は現在、マンチェスター・シティのスタッフとして、ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で働いている。彼の息子ニコは、久保と同じ世代だ。
 
 息子とともに久保の成長過程も見てきた数少ない存在であるフランは、この日本人アタッカーの将来の成功を確信している。
 
「確かに、まだ何かを言うのは早い。なぜなら、若手がプロの世界で成功できるかどうか、それがはっきりと見えてくるのは、少なくともフベニール(17~20歳のカテゴリー)に入ってからだからね。しかし、タケはそのために必要な能力を十分に備え持っている。きっと素晴らしい選手になるだろう」
 
 では、育成事情に詳しい元プレーヤーの目から見て、15歳の久保の武器、持ち味とはなんだろう? 解説してもらった。
 
「フットボールには様々な要素がある。テクニック、フィジカル、戦術理解力、メンタルなどだ。テクニカルな視点で言うと、タケは世界レベルのものを持っている。パス能力が高く、フェイントも多彩で、相手を切り崩すことができる。そして、GKを目の前にしても慌てず、正確にネットを揺らす。つまり技術面ではトップクラスということだよ。
 
 戦術理解にも優れ、言うならば非常にスマートな選手だ。バルサでのスタートはCFだったが、ウイングでも、トップ下もプレーできる。あるいは攻撃的なインテリオール(中盤のサイド)、バルサで言うと、ちょうどイニエスタのポジションもこなせる。将来は彼のような選手になるかもしれない」

次ページバルサの意向は18歳になった久保を取り戻すこと。

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