中澤も感嘆する齋藤学の“あのフェイント”。ハリルジャパン最大の激戦区に名乗りを上げられるか

2016年09月13日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「日本一と言っていいぐらい、ドリブルが上手い」(昌子)。

ドリブルがキレまくっている齋藤は、フィニッシュワークでも存在感を発揮。左ウイングを主戦場に、横浜では輝きを放ち続けている。写真:田中研治

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「少しがっかりしています」と落胆の色を隠さない。理由は、A代表が求めるレベルに達している国内組の少なさだ。
 
「私を満足させてくれる選手がたくさんいるかと言われれば、そうは感じていません」
 
 指揮官は「欧州組を脅かすような国内組が出てきてほしい」と願っている。何人かの候補者はいるはずだが、その中に横浜の齋藤学が入っていてもおかしくはない。
 
 主戦場は左ウイング。奇しくも、清武弘嗣、原口元気、宇佐美貴史、武藤嘉紀ら欧州組がせめぎ合う激戦区に割って入るだけの実力が、今の齋藤には間違いなくある。
 
 最大のストロングポイントは、改めて言うまでもないが、ドリブル突破だ。第2ステージに入ってから、その切れ味はますます磨かれてきている。1対1の勝負を意味する"デュエル"は「オフェンス面にも言える」(ハリルホジッチ監督)なら、「日本一と言っていいぐらい、ドリブルが上手い」(昌子源/鹿島)齋藤に、日の丸を背負う権利は十分にある。
 
 A代表の9月シリーズ直後、9月10日の第2ステージ11節・仙台戦で、横浜は敵地で仙台を1-0で下している。スコアラーは兵藤慎剛だが、自慢の打開力で左サイドを崩し、エリア内に侵入して、兵藤のシュートチャンスを演出したのが齋藤だった。
 
 その6日前のルヴァンカップ準々決勝・第2節の大宮戦では、齋藤のパスからチームをベスト4に導くカイケのゴールが生まれている。8月27日の第2ステージ10節・鹿島戦では1得点・1アシストと、持ち前のドリブルを武器にフィニッシュワークに絡んでみせる。
 
 ひとたび足元にボールを収めれば、文字通り、手のつけられない存在となる。自分の間合いに持ち込めば、まず止められない。そんなキレキレの齋藤について、チームメイトの中澤は次のように話す。
 
「昔の学は、ライン際にこだわっている部分があった。でも今年は特に、真ん中にスペースがあれば、相手がいても間を割って入っていって、抜いていくケースが増えてきた。非常に幅が出てきましたよね」

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