【ボランチ考察①】安全策の「長谷部&山口」は、意外にも攻撃的だった

2016年09月07日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

機を見た攻撃参加など、際立っていた山口の攻撃センス。

今年3月のシリア戦以来のコンビとなった長谷部(17番)と山口(16番)。連係にはなんの問題もなく、互いに相手をフォローしながら、中盤の構成力を高めた。(C)SOCCER DIGEST

 勝利が絶対に必要だったタイとの一戦で、日本の2ボランチの組み合わせは「長谷部+山口」だった。
 
 以前、ハリルホジッチ監督は次のように述べている。
 
「(2ボランチの組み合わせは)相手にもよりますが、ベースとなる考え方は、相互に補完し合える関係性です。お互いに足りない部分を補い、より強さを発揮するイメージです」
 
 これに倣えば、どちらも守備タイプの長谷部と山口の組み合わせは、当然だが守備力はアップするが、攻撃力のダウンは避けられず、ベースから外れることになる。
 
 もちろん、この組み合わせが過去になかったわけではない。むしろ、ハリルジャパンの初陣となったチュニジア戦(15年3月)でさっそく実現しており、2次予選ではスタンダードでもあった。ただ、攻撃タイプの柏木が力をつけてきたことで、"相互に補完し合える関係"が指揮官の中で重要視されるようになったのかもしれない。
 
 それでも、タイ戦は長谷部と山口がスタメンに名を連ねた。すでに初戦を落としている日本はここで連敗はできない。ハリルホジッチ監督が"安全策"をとってもおかしくはない状況ではあった。
 
 試合の結果は、周知のとおり、2-0で日本が危なげなく勝利している。ほぼ一方的に相手を押し込み、守備に関してそこまでナイーブになる必要はなかったが、そうした展開の中で際立っていたのが、山口の攻撃センスだった。
 
 機を見た攻撃参加のタイミングは絶妙で、相手のギャップを突く縦パスも実に効果的だった。守備をおろそかにせず、前線の選手のパスコースを確保するためのポジショニングと無駄のないパスの出し入れを徹底する。
 
 ボランチの仕事をこなしたうえで、攻撃面をサポートしていた山口。タイとの実力差を考慮すべきではあるが、「長谷部+山口」は十分に"攻撃的"だった。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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