【日本代表】ハリルを満足させられなかった清武。果敢に縦を狙っていたのだが…

2016年09月02日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「僕は、やっていたかなと思うんですけど……」。

トップ下だけでなく、左ウイングでも計算できる清武はハリルジャパンでその地位を揺るぎないものにしつつある。(C)SOCCER DIGEST

 チームに合流したのは8月30日、UAE戦の2日前である。それでも、練習後の取材対応では「良い練習ができた」と語り、初日にもかかわらずフルメニューをこなしたという。

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 その翌日の前日会見で、ハリルホジッチ監督は「少し、明日は難しい状況かもしれませんね」と、コンディションが不安視されていた清武のベンチスタートを示唆していた。しかしいざフタを開けてみれば、清武はスターティングメンバーに名を連ねていた。
 
 左ウイングでプレーしたUAE戦はさすがにフル出場とはいかなかったが、序盤から疲れを感じさせないアグレッシブな姿勢で仕掛けていく。香川との息の合った連係プレーも相変わらずで、11分の本田の先制点は清武の正確なFKから生まれた。
 
 後方で味方がマイボールにすれば、タイミングを見計らって一気に前に飛び出していく。攻撃に奥行きをもたらす精力的なその動き出しは何度も繰り返されていた。
 
 しかし、なかなかボールが出てこない。走り出した清武にパスが通れば、相手の守備陣を裏返すことができたにもかかわらず、その狙いが実を結ぶことは少なかった。
 
「たぶん、今日の左サイドに監督は満足していないと思います。ハーフタイムにも左サイドのことを言われましたし、ベンチでも常に僕のことは言われていたと思う」
 
 自らを戒めるように発せられたこのコメントには、違和感があった。縦を狙う動き――これはハリルホジッチ監督が求める攻撃の基本動作のひとつであり、清武はその意図を理解し、実践していたからだ。
 
――もっと裏を狙ったりとか? 答えは分かり切っていたが、念のために確認してみた。
 
「僕は、やっていたかなと思うんですけど……」
 
 どこか釈然としない様子が窺えた。ただ、一切の言い訳はしない。記者は出し手の配球力に問題があったと見ているが、それについて聞いても、清武にはひとつの不満もない様子で、ただ、「刷り合わせていかないと」とコンビネーションの向上を掲げた。
 
 トップ下を本職とする清武だが、ハリルジャパンでは左ウイングでも計算されており、試合を重ねるごとにその存在感を高めている。指揮官から正当な評価を得るためにも、信念を貫き通して、やり続けるしかない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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