【ミラン番記者】本田の残留はほぼ確定、そして今季限りの在籍であることも…

2016年08月30日 マルコ・パソット

引き合いのあるプレミアへの移籍も一朝一夕では決まらない。

ベンチでチームメイトのプレーに一喜一憂する日々は、果たしていつまで続くだろうか。写真は第1節のウディネーゼ戦。 (C) Getty Images

「ナポリからミラノへ帰る飛行機のなかでの本田の表情と視線はことのほか、暗かった」
 
 そう伝え聞いている。
 
 また、これまでの数年、本田はいつもサン・シーロのVIP席を年間で予約していたが、今年はまだそれがなされていないという噂も聞く……。
 
 まあ、予約については様々な理由が予測できるが、帰路での表情が暗かった理由は、ひとつしかない。ミランでの、自身のあり方に満足していないからだ。
 
 リーグ戦が開幕してから2試合連続で、彼はずっとベンチに座ったままである。これまではスタメンでなくとも、パートタイムプレーヤーとしては出場していたが、今回は90分まるまる、ベンチでチームメイトのプレーを観戦することを余儀なくされている。
 
 それでもミランは、初戦のトリノ戦では勝利することができたが、ナポリ戦では2-4の黒星。おまけにチームは、最終的には9人で戦っていた。
 
 モンテッラ監督に近い人物の話では、2人の退場者が出たことにより、予定していた交代選手を変更しなければならなかったという。もし何も起こらなければ後半の半ばくらいに、本田が起用された可能性は大いにありえる。
 
 しかし、人数の少ない状態でナポリを崩すことを強いられた時、モンテッラは本田以外の選手を選んだ……。
 
  本田の代理人とミランの首脳陣、そして本田自身とガッリアーニ副会長との会談での、「良い方向に進めていく」という取り決めは、早くも現実の壁にぶち当たってしまった。
 
 モンテッラが、本田を高く買っていないことは明らかだ。
 
 前任監督たちのように、その頑張りや高いプロフェッショナル精神については評価しているかもしれないが、それでも本田はモンテッラの構想のなかでは、「2軍のメンバー」である。不動のレギュラーが使えない時のみに必要とされる――つまりスソの控え選手なのだ。
 
 夏の移籍市場はあと数日で締まるが、以前から繰り返し伝えているように、本田の方からミラン本部の扉を叩いて移籍を申し出ない限り、彼はこのままミランに残るだろう。
 
 本田は、ラストミニッツに隠し玉として移籍するような大物ではないが、かといって気軽にレンタルできる若手選手でもない。本田を獲得するということは、彼をマネジメントする事務所をも込みで獲得することを意味する。
 
 本田に興味を示しているプレミアリーグのクラブがあるイングランドは、ミラノから飛行機でわずか2時間の距離にあるが、一朝一夕で話が決まるということはないだろう。最後にサプライズでもなければ、本田はこのまま、ミランに残ることとなる。

次ページライバル、スソの活躍もあって、逆風は強くなるばかりである。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事