【北中米W杯出場国紹介|第10回:オーストラリア】堅実な組織に新たな推進力が加われば――列強にとっても危険な存在になるだろう

2026年01月16日 河治良幸

前回大会では優勝国に善戦

アジア最終予選はC組2位で本大会にストレートインのオーストラリア。日本には1勝1分けと勝ち越した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

"アジア勢"として定着しているオーストラリアだが、地理的には南太平洋のオセアニアに属する。2006年ドイツW杯を最後にオーストラリアはOFC(オセアニア・サッカー連盟)を離れ、AFC(アジア・サッカー連盟)に籍を移した。以降はアジア予選に参加しており、今回で6大会連続、通算7度目の本大会出場となる。

 前回2022年カタールW杯の戦いぶりは印象的だ。初戦でフランスに完敗したものの、チュニジアとデンマークを下して、4大会ぶりにグループステージを突破。ラウンド16ではアルゼンチンに1-2と惜敗したが、その後に世界王者となる相手に対して善戦。試合終盤まで緊張感を保ち、組織力の高さを世界に示した。この大会で得た成功体験は、現在のチームにも色濃く残っている。

 現在のメンバー構成を見ると、百戦錬磨の守護神であるGKマシュー・ライアン(レバンテ)やキャプテンのMFジャクソン・アーバイン(ザンクトパウリ)といった中核の選手は健在だ。一方で、長年チームを率いたグラハム・アーノルド監督(現・イラク代表)が、アジア最終予選の途中で退任し、後任としてトニー・ポポビッチ監督が就任した。

 現役時代にサンフレッチェ広島でも活躍した元代表センターバックは、アーノルド監督からベースの部分は継承しながら、より現実的で柔軟な戦い方を導入。アジア最終予選を首位突破した日本に1勝1分けの結果を残すなど、グループ2位で本大会へのストレートインを果たした。
 
 オーストラリアは突出したタレントがいない代わりに、組織としてのまとまりが非常に強い。かつてアンジェ・ポステコグルーが植えつけた、ポゼッションをベースにした構築を志向してきたが、ポポビッチ体制では自陣を固めたところからのロングカウンターなども、明確な選択肢となっている。

 守備時は5-4-1の堅固なブロックを形成し、状況に応じて3バック気味に前へ出る。GKライアンを中心に、押し込まれても簡単には崩れない安定感は大きな拠り所だ。

 攻撃面ではアーバインを司令塔とし、両サイドの機能が生命線となる。右では左利きのコナー・メトカーフ(ザンクトパウリ)、左にはライリー・マグリー(ミドルスブラ)、あるいは19歳のネストリー・イランクンダ(ワトフォード)が高い位置で仕掛けられれば、前線のモハメド・トゥーレ(ラナースFC)の高さと身体能力が活きる。

 時間帯によっては左ウイングバックのジョーダン・ボス(フェイエノールト)が大胆に押し上がることで、左右ワイドのマグリーやメトカーフをよりゴールに近いシャドーのように使う形も取れる。
 

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