ウクライナ、ポーランド、スウェーデン、アルバニア。日本にとって最も難しい相手は? 欧州プレーオフBの4か国を徹底比較

2025年12月30日 河治良幸

スペースを使う攻撃が上手い

FIFAランクは28位。チームの練度や特徴を考えると、ウクライナが一番難しい相手か。(C)Getty Images

 参加国が「48」に拡大されるなど、北中米ワールドカップはこれまでと異なる未知な要素が多い大会だ。

 しかも、まだ出場国が完全に出揃っておらず、抽選会ではプレーオフ枠がそのままポット4に入る形となった。これが欧州プレーオフB(ウクライナ、ポーランド、スウェーデン、アルバニア)と同じF組になった日本代表の準備にも、難しさを与えている。

 森保一監督は「3月の代表ウィークで突破する国が決まると思いますので。そこはテクニカルスタッフを派遣して、観にいってもらおうかなと。テクニカルスタッフは4か国の試合を観ながら進めてくれると思いますし、できるだけの準備をして。相手を知ったうえで、相手を上回れるように、良い準備ができるようにしていきたい」と語る。

 プレーオフBでどこが勝者となっても、しっかりと分析して自分たちの特徴と噛み合わせていくはずだが、ここではあえて、どの国が来たら日本は戦いやすいのかということを想定しながら、各国の特徴をまとめたい。

 最新のFIFAランキングを見ると、ウクライナが28位、ポーランドが31位、スウェーデンが43位、アルバニアが63位となっている。

 これがそのままチームの力関係を表わしているわけではないが、チームとして最もバランスが取れているのはウクライナだろう。ウクライナ・サッカー連盟(UAF)をあげて若手選手の育成に取り組んでおり、オレクサンドル・ジンチェンコを筆頭に、そこから積み上げている選手が多く、連係面もクラブチームのように感じられる。

 欧州予選ではフランスと同組で、さらに言えばロシアの侵攻を受けている国内でホームゲームができないという事情もあったなかで、フランスには連敗したが、アイスランドとアゼルバイジャンに競り勝ち、プレーオフに進んだ。

 プレーオフはスウェーデンとの準決勝、そして決勝と2試合ともホーム扱いながら、スペインのバレンシアで戦うことになる。日本はウクライナには2018年の3月に、ベルギーのリエージュで1-2の敗戦を喫した。ロシアW杯の直前に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督のラストゲームとなったが、欧州スタンダードの戦術をベースとする国を相手に、非常にやりにくさを感じさせられた試合だった。
 
 当時は現在の会長であるアンドリー・シェフチェンコが監督を担っていたが、そこから現役時代の戦友でもあるセルゲイ・レブロフ監督が引き継いでも、チームの基本的な戦い方に大きな変更はない。ジンチェンコやルスラン・マリノフスキー、ミコラ・マトヴィエンコといった選手たちは健在で、チームの支柱となっている。

 センターラインにはテクニカルな選手が多く、ボールを動かしながらピッチを広く使って、スペースを使う攻撃が上手い。そこから191センチのロマン・ヤレムチュクなど、身体の強い大型FWにクロスを入れてきたり、ボックス内にラストパスを通してくるのが狙いだ。もちろん矢を刺すようなカウンターもあるが、基本はしっかりと中盤を使って崩しにくる。

 それこそフランスのような欧州の列強国からすると、さしてやりにくさはない相手かもしれないが、日本からすると、掴みどころの難しい強敵になってくる。決して勝てない相手ではないが、F組の相手であるオランダとチュニジアから思うように勝点が取れず、3試合目の勝利が突破の条件になってくると、かなり厳しい戦いが想定される。

 パリ・サンジェルマンに所属するセンターバックのイリヤ・ザバルニーのようなメガクラブでプレーしている選手もいるが、個のタレント力という意味ではポーランドやスウェーデンの方が上だろう。しかしながら、チームの練度や特徴を考えると、ウクライナが一番難しい相手と見ている。
 

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