シーズン開幕直前のドタバタの末に急遽招聘されたオランダ人。
初陣の結果は無残なものに……。試合中のシステム変更に長友も混乱したか、プレーに精彩を欠いた。 (C) Getty Images
先週末に開幕した2016-17シーズンのセリエA。第1節最大のトピックは、2週間前の8月9日に就任したばかりのフランク・デブール監督率いるインテルが、弱小キエーボに0-2の完敗を喫したことだろう。
守備的なメンタリティーが支配するセリエAに、トータルフットボールの教祖であるヨハン・クライフ、そして恩師ルイス・ファン・ハールの影響を強く受けたオランダ・アヤックス流の攻撃的なポゼッションサッカーを導入すべく、デブールは招聘された。
しかしこの開幕戦、ボール支配率こそ61パーセントと高かったものの、最後の30メールにおいて効果的なかたちでボールを運ぶ場面は数えるほど。その一方、守備は組織がユルユルで、ボールを奪われるたび相手に速攻を許すなど、結果以上に内容の悪さが目立った。
さらに、これまで試していなかった3バックを採用してペリシッチをベンチに置くなどの不可解な戦術的選択や用兵もあって、マスコミやサポーターからは早くも、新指揮官に対する落胆や批判の声が挙がっている。
09-10シーズンにチャンピオンズ・リーグ(CL)制覇を含む「トリプレッタ(三冠)」を達成したジョゼ・モウリーニョが去って以降、インテルは毎年のように監督を代えながら、結果が残せずにいる。また、ここ3年間で2度もオーナーが代わるなど、経営レベルでも混迷が続く。
今夏も、5月に70パーセントの株式を取得して新オーナーとなった中国・蘇寧グループが打ち出した消極的な強化方針に納得できないロベルト・マンチーニ監督が、開幕まで2週間を切った8月9日にクラブと合意の上で契約を解消するという事態が起こった。
これを受けた新経営陣は、かねてから候補に挙げていたデブールにすぐに接触し、合意を取り付けて招聘を決めたというのが、ここまでの経緯である。
80年代半ばにクライフが再構築したアヤックスのアカデミーで育ち、アヤックスとバルセロナで10年以上にわたってファン・ハール監督の下でプレー、数々のタイトルを勝ち取ったデブールは、このふたりの名将の直系に繋がる正統な後継者と言える。
現役引退後、オランダ代表アシスタントコーチなどを経て10-11シーズン半ばにアヤックスの監督に就任。足かけ6シーズン、古巣の指揮を執ってきた。
両ウイングが大きく開き、中盤の3人は内に絞ってコンパクトなトライアングルを形成することでピッチ全体を幅広く、かつ均等にカバーする「アヤックス・スタイル」の4-3-3をチームに徹底。就任から4シーズン連続でエールディビジのタイトルを制した。
速攻よりもポゼッションによるゲーム支配を重視し、広く布陣した最終ラインと中盤が落ち着いてボールを動かして試合のリズムをスローダウン、ワイドに開いたウイングが1対1で勝負できるかたちになったら、そこで初めてフィニッシュに向けた仕掛けのスイッチを入れる――。
これが、デブールが指揮したアヤックスの一貫したプレーコンセプトだった。
守備的なメンタリティーが支配するセリエAに、トータルフットボールの教祖であるヨハン・クライフ、そして恩師ルイス・ファン・ハールの影響を強く受けたオランダ・アヤックス流の攻撃的なポゼッションサッカーを導入すべく、デブールは招聘された。
しかしこの開幕戦、ボール支配率こそ61パーセントと高かったものの、最後の30メールにおいて効果的なかたちでボールを運ぶ場面は数えるほど。その一方、守備は組織がユルユルで、ボールを奪われるたび相手に速攻を許すなど、結果以上に内容の悪さが目立った。
さらに、これまで試していなかった3バックを採用してペリシッチをベンチに置くなどの不可解な戦術的選択や用兵もあって、マスコミやサポーターからは早くも、新指揮官に対する落胆や批判の声が挙がっている。
09-10シーズンにチャンピオンズ・リーグ(CL)制覇を含む「トリプレッタ(三冠)」を達成したジョゼ・モウリーニョが去って以降、インテルは毎年のように監督を代えながら、結果が残せずにいる。また、ここ3年間で2度もオーナーが代わるなど、経営レベルでも混迷が続く。
今夏も、5月に70パーセントの株式を取得して新オーナーとなった中国・蘇寧グループが打ち出した消極的な強化方針に納得できないロベルト・マンチーニ監督が、開幕まで2週間を切った8月9日にクラブと合意の上で契約を解消するという事態が起こった。
これを受けた新経営陣は、かねてから候補に挙げていたデブールにすぐに接触し、合意を取り付けて招聘を決めたというのが、ここまでの経緯である。
80年代半ばにクライフが再構築したアヤックスのアカデミーで育ち、アヤックスとバルセロナで10年以上にわたってファン・ハール監督の下でプレー、数々のタイトルを勝ち取ったデブールは、このふたりの名将の直系に繋がる正統な後継者と言える。
現役引退後、オランダ代表アシスタントコーチなどを経て10-11シーズン半ばにアヤックスの監督に就任。足かけ6シーズン、古巣の指揮を執ってきた。
両ウイングが大きく開き、中盤の3人は内に絞ってコンパクトなトライアングルを形成することでピッチ全体を幅広く、かつ均等にカバーする「アヤックス・スタイル」の4-3-3をチームに徹底。就任から4シーズン連続でエールディビジのタイトルを制した。
速攻よりもポゼッションによるゲーム支配を重視し、広く布陣した最終ラインと中盤が落ち着いてボールを動かして試合のリズムをスローダウン、ワイドに開いたウイングが1対1で勝負できるかたちになったら、そこで初めてフィニッシュに向けた仕掛けのスイッチを入れる――。
これが、デブールが指揮したアヤックスの一貫したプレーコンセプトだった。