「日本とは全然違う」「すごく戦術的」ブライトンで躍動するなでしこ清家貴子が語るイングランドサッカーと現在地。“同僚”の三笘薫には「影響を受けています」【現地発インタビュー】

2025年12月19日 松澤浩三

「ビビらずに戦えている」

ブライトンで2年目を迎えている清家。(C)Brighton & Hove Albion FC

 2023-24シーズンのWEリーグMVPと得点王のタイトルを置き土産に、日本を発った清家貴子。当時27歳だった彼女が自身初となる海外挑戦の舞台として選んだのは世界最高峰と称されるWSL(Women's Super League = ウィメンズ・スーパーリーグ)だった。三笘薫が所属するブライトンの女子チームに加入した昨シーズンは、同リーグ史上初となるデビュー戦ハットトリックという鮮烈な形でスタートを切り、リーグ戦18試合に出場して6得点と上々の形で1年を終えた。
 
 迎えた今季。2025-26シーズンも、チームの中心選手としてここまで全試合に出場し、4ゴール1アシストを記録するなど、その存在感は増すばかりだ。来年3月には、なでしこジャパンの一員として、オーストラリアで開催されるAFC女子アジアカップに挑むことになるはずだが、2027年ブラジル女子ワールドカップ予選、さらに2028年のロサンゼルスオリンピックのアジア2次予選も兼ねるだけに、重要な意味を持つ大会である。

 ブライトン、そして日本代表をけん引する中心選手の一人としてさらなる飛躍が期待されるストライカーがサッカーダイジェストWebの単独インタビューに応じてくれた。2025年は「フットボールを知れた」と語る清家が考える現在地、そして新たな挑戦への思いとはいったいどんなものか。

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――今季ここまでブライトンでは全試合出場されています。ご自身のパフォーマンスをどう評価していますか。

「このWSLという環境にもだいぶ慣れてきて、ビビらずに戦えていると思いますし、その中で去年よりもよりチームとフィットしてきている。チームに求められてる形と自分のやりたいプレーがだんだん近づいてきて、それが結果として、今はだいぶコンスタントに点が取れていて、良い形で繋がってるんじゃないかなと思います」

――直近の5試合で3得点。チームも上向きになっていると思いますが、同様に清家選手個人も調子は上がっている印象を受けます。試合を重ねるごとに良くなっている意識はありますか。

「そうですね。身体もフィットしてきてますし、何より、戦術面的に自分のやりたいプレーに迷いがなくなったというか。昨シーズンまでは自分のしたいプレーとチームに求められているプレーが違っていて、その中で『どうしたらいいんだろう?』みたいな迷ってる時間とか、そういうのがありました。それが今は、そういうのがだんだん減ってきたかなと思います」
 
――フィットしているという話ですが、ご自身の中で昨シーズンは何を学び、今季はどのような違いが出ていると感じていますか?

「やっぱりこっちのサッカーはすごく戦術的で、特にいま自分がいるチームの監督がより戦術的というのはあると思うんですけど、その中で昨シーズンに関しては立ち位置について結構うるさく言われたり、さらにその立ち位置でのボールの受け方だったり。ボールに触る回数が少ないことへの、なんかストレスみたいなのが昨季はありました。ただ今季に関して言えば、チームがより自分のことをうまく使ってくれる、信頼を得てボールが入ってくるのもありますし、与えられた場所、プレー時間の中で自分に求められているプレーというのがどういうものなのか。1対1の部分であったり、そういうのが分かってきたので、そこを練習の中でしっかり磨いていって、対人の部分での自信にも繋がってきてるのかなって思いますね」

――清家選手の言葉とおり、現在のブライトンは戦術的なクラブだと思います。具体的には、例えばレッズと比較してどう違うのでしょうか。

「具体的な戦術の話はできないんですけど、毎日ミーティングが30分以上、もっと長い時もあったりします。練習の中でも毎週毎週対戦する相手に対してしっかり立ち位置を取って、そこから相手のシステムだったり、『こういうプレーをしてこう』ということを細かくやります。試合のフォーメーションだったりを若干変えていったり、守備の仕方も、事細かく指示されていて。ボールの使い方であったりの確認もかなり入念にやるところは、日本にいた時、日本のチームとは全然違うなと思いましたね」
 

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