マンUから漂う「黄金時代の香り」。モウリーニョ、イブラ、ポグバがもたらしたものは?

2016年08月23日 山中忍

イブラヒモビッチはレジェンドが体現した凄さ、巧さ、気高さを一身に併せ持つ。

開幕2戦で3ゴールを決め、実力を存分に見せつけているイブラヒモビッチ。独特のカリスマ性といまだ衰えぬ身体能力で、早くも「プレミア初挑戦で馴染めるか?」という不安を吹き飛ばした。 (C) Getty Images

 今シーズンからマンチェスター・ユナイテッドの指揮を執るジョゼ・モウリーニョに課せられた第一の使命は、優勝候補としての復活。その期待通りに開幕2連勝を飾ったチームは、早くも「プレミアリーグ随一の強豪風」を匂わせる。
 
 黄金期となったサー・アレックス・ファーガソン時代のマンチェスター・Uには、伝統の攻撃力に加えて強力な背骨と気骨があった。ファーガソン勇退を境に7位、4位、5位と低迷した過去3年間は、その心身両面での強さが欠けていた。
 
 しかし、今シーズンは違う。原動力は新戦力だ。ビジャレアルから獲得したCBのエリック・バイリーは、2年前にネマニャ・ヴィディッチが去ってからチームが失った屈強さを最終ラインに加え始めている。
 
 ユベントスから4年ぶりに、しかも史上最高額の移籍金で復帰したセントラルMFのポール・ポグバは、1993年に加入して黄金時代の礎となったロイ・キーンのように、タックルもドリブルもシュートもパスもいける新エネルギー源となりうる。
 
 そして、パリSGから移籍金ゼロで加入した新エースのズラタン・イブラヒモビッチは、26年ぶりのリーグ優勝を果した1992−93シーズンの前線で、マーク・ヒューズとエリック・カントナが体現していた凄さ、巧さ、気高さを一身に併せ持つ。
 
 ポグバとイブラヒモビッチの「ブロマンス」は、ムードの良さも醸し出している。8月19日のサウサンプトン戦(○2-0)でも、ヒーローインタビューで仲の良さを垣間見せた。
 
 イブラヒモビッチが、ハットトリックが可能だった自身を差し置いてシュートを打ったポグバに、「パスしろよ。次はパスするよな? パスだ」と茶々を入れれば、ポグバは「俺だってパスするってば」と笑いながら、マン・オブ・ザ・マッチのトロフィーを2得点のCFに手渡した。
 
 

次ページ選手起用から垣間見えるモウリーニョの巧みな手腕。

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