【ザスパ社長・細貝萌の生き様】「来季こそ上に行けるチームを作りたい」方向性はブレず、残留を勝ち取る。激動の2025年を乗り越え、次のステージへ

2025年12月13日 元川悦子

良い見本になりそうなのが水戸

2030年にJ1へ。簡単なミッションではないが、細貝社長は「目ざすことはできる。僕はそう信じています」と力をこめる。(C)THESPA

 2025年は1年でのJ2復帰を目標に掲げながら、J3で14位という悔しい結果に終わったザスパ群馬。2026年はJ2・J3の40チームが東西南北に分かれて戦う変則リーグに参戦。そこでチームをブラッシュアップさせ、夏から開幕する2026-27シーズンに挑むことになる。そこでJ2復帰を果たし、着実にクラブ力を引き上げていくというシナリオを、群馬の細貝萌社長は思い描いている。

「今季に入って『ザスパ VISION 2030』を関係者の中で話し合っていたんですが、それを10月にフロントスタッフ全員の前で説明しました。

 もちろん毎年、成長し続けていかなければいけないという話はしましたし、2030年時点でのJ1という目標にも触れました。同時にスタジアムに足を運んでくださる観客の方々も増やさないといけないですし、売上高も現状の10億円規模から大きく伸ばさなければいけない。高い領域を視野に入れ、部署ごとに成長していくことが大事なんです。

 やはり全員がザスパ群馬で働いていることを誇らしいと思えるような組織・クラブにすることが、社長である自分の責務。『2030年にJ1』というのは、はたから見れば現実的ではないと言われるかもしれません。ですが、目ざすことはできる。僕はそう信じています」と彼は語気を強めていた。

 今の群馬にとって良い見本になりそうなのが、2025年にクラブ史上初のJ2優勝&J1昇格を決めた水戸ホーリーホックではないだろうか。2000年からJ2に居続け、「J2の番人」とも言われてきた水戸の2024年度の売上高は12億7000万円。同年の1試合当たりの観客動員数は4406人で、同リーグで3988人だった群馬とそこまで大きな差がなかった。
 
 そういうクラブが一気に最高峰リーグに上り詰めたのだから、群馬も「自分たちも同じような足跡を辿りたい」と考えても不思議ではないはずだ。

「今季の水戸に関しては、シーズンを通して結果が出たことは当然、素晴らしいことですし、学ぶべきところは、たくさんあると思います。僕らには、そのポテンシャルがないかと言われれば、そんなことはないという自負があります。群馬県には約190万の人々がいますし、県民の後押しを力にできれば、いつか大舞台を掴み取ることもできると信じています。

 ただ、一目散にJ1を目ざすのは難しいのも事実。自分たちの立ち位置をしっかり見極め、課題を抽出し、それに向き合っていくことが肝心ですね」と、細貝社長は目の前のハードルを確実にクリアしていくつもりだ。

 水戸は「メイクバリュー・プロジェクト」という選手教育プログラムを2018年から実施しているが、群馬も選手育成・教育の重要性は強く認識している。すでにアカデミー選手に対する栄養教育を始めているというが、人間教育の部分にアプローチしていくことも必要だろう。
 

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