【浦和】槙野の捨て身の攻撃参加に言及。柏木が「マキは後ろから上がってくるほうが怖い」

2016年08月22日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「良い感じでパスを回しながら、上がってきたマキが高い位置でボールを受ける形だと生きる」。

川崎との首位攻防戦で敗れた柏木は、「良い試合だったが。負ける時のパターン」と悔やんだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ9節] 浦和レッズ 1-2 川崎フロンターレ
8月20日/埼玉スタジアム2002
 
  川崎との首位決戦の終盤、1点を追う浦和は最後のカードを切って青木拓矢を投入し、中盤をぶ厚くして反撃に出ようとした――はずだった。しかし、左ストッパーの槙野智章が前線に張り出して、徐々に青木と阿部勇樹のボランチが守備に回る態勢となっていった。
 
 槙野のドリブルで持ち上がる能力を生かす狙いだが、逆に前線に浦和の選手が殺到。ゴール前に人垣ができて、手詰まりの状況に陥ってしまう。逆に浦和の背後に空いたスペースにボールを蹴り込まれるだけで、守備がバタついて危うくトドメの3点目を奪われそうにもなった。
 
 浦和が上位陣に負ける時、何度も目にしてきた光景ではあった。今回はより極端な"前傾姿勢"となったが……、失点しなかったものの、ゴールを割ることもできなかった。
 
 槙野が前線に張り出す攻撃的な布陣について、司令塔の柏木陽介は「あくまでも監督の判断。より攻撃的に行こうという狙いがあると思うし、決して否定するつもりはないけれど……」と言ったうえで、次のように自らの考えを示した。
 
「マキ(槙野)は後ろから上がってくるからこそ、怖さを与えられると思う。前にスペースがある状況で、思い切ってドリブルで仕掛けられる。(柏木やシャドーの選手が)良い感じでパスを回しながら、上がってきたマキが高い位置でボールを受ける形だと生きる」
 
 今回のように前線に張り出した状況では、槙野の特長がむしろ埋没してしまうのではないか? という指摘をしていたのだ。例えば、前に梅崎や関根のような"突っかけていく"選手がいてこそ、槙野のドリブルも生きる、と。
 
 ペトロヴィッチ監督が採用する3-4-2-1は、全員攻撃・全員守備を実際に形にしようとして辿り着いたシステムだ。ウイングバックが攻撃参加することで5トップになり、さらにその背後からストッパーの槙野や森脇が飛び込み、相手DF陣がボールを奪いにくい「ギャップ」を突き、二次、三次と襲い掛かるぶ厚い攻撃を狙う。

 この日の李が決めた同点ゴールは、セカンドボールを拾えると判断した右ストッパーの森脇の思い切った攻撃参加から生まれたものだった。
 

次ページふたりが負傷交代。スクランブル的な布陣になるのは仕方ないものの、好調な青木が守備に奔走するのはもったいなかった。

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