【仙台】数的有利が不利になる!? 10対11の攻防に潜んでいた敗着の要因

2016年08月21日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「実際にチャレンジしてみないとエラーも出ない」(渡邉監督)

茂木に肘打ちをしたとして、大宮の家長が一発退場。仙台は直前に同点としており、試合の流れを手にするチャンスだったが…。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ9節]大宮 2-1 仙台 8月20日/NACK
 
 渡邉晋監督が戦前から予想していたように、年間勝点36で並んでいた大宮との戦いは厳しい展開となった。攻撃では流麗なパス回しでプレスを外され、守備では思った位置に追い込んでもボールを奪えない。
 
 そんななかで、左SBとして初スタメンとなった藤村慶太が狙われる。35分、センターライン付近でボールを持った家長昭博に藤村が積極的に食い付いた。だが、楽々とキープされ、逆に藤村が上がったスペースを使われた。

 大宮の攻撃は金澤慎を経由して、まったく圧力を掛けられなかった横谷繁から走り込んだ江坂任にパスが通る。それに対して、三田啓貴が追いすがるも、間に合わずにクロスを供給されてしまう。
 
 最終的に大岩一貴がドラガン・ムルジャを倒してPKに。これを家長に冷静に決められ、アウェーの地で先制点を献上してしまった。ただ、このシーンを振り返った渡邉監督は、厳しい口調にはならなかった。
 
「確かに(藤村が家長に)寄せずに我慢していれば、背後のスペースを突かれることはなかったとは思う。ただ、それも実際にチャレンジしてみないとエラーも出ない。今回のことで、今後は『行く、行かない』の判断はもっと研ぎ澄まされるはず」
 
 起用した若手がトライ&エラーを繰り返すのは悪いことではないだろう。数多くの負傷者を抱えるチーム事情はあるにせよ、「育てながら勝つ」という、どのクラブも理想とする姿を多少なりとも体現でき始めているのだ。
 
 そうして1試合の中でも我慢を続け、徐々に旗色は良くなっていった。待望の同点弾も76分に生まれている。茂木駿佑が蹴ったCKのこぼれ球に三田が反応。迷いなく左足を振り抜くと、ボールはゴールネットに文字通り突き刺さった。
 
 そのスーパーゴールの1分後には、大宮の家長にレッドカードが提示された。仙台陣内の深くでボールを収めたが、それに身体を寄せた茂木の顔面に左肘がヒット。審判は迷いなく退場を宣告した。これで10対11。流れは仙台に傾いた、はずだった。

次ページ「慢心があったわけではないが、少し余裕を持ち過ぎていた」(渡部)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事