「その人の前で見せつけたいと…」“得点ランク1位”上田綺世との直接対決で圧巻2ゴール!20歳の日本人FWが語るW杯への思い。同世代アタッカーの日本代表招集には「正直、めちゃくちゃ悔しかった」【現地発】

2025年11月24日 中田徹

「外してたら怒られていたかもしれないですけれど」

強豪フェイエノールトから圧巻の2ゴールを決めた塩貝。写真:中田徹

 11月23日、フェイエノールト対NECのキックオフ1時間前、両チームのスタメン表が回ってくると、全国紙の著名ジャーナリストが「日本人が先発に4人もいるじゃないか。今日の試合はお前にとって最高だな」と声をかけてくれた。

 フェイエノールトはCB渡辺剛、FW上田綺世。NECはMF佐野航大、FW小川航基がスタメンだ。日本代表に定着する3人に加え、佐野も9月のアメリカ遠征に招集されているという実力派揃い。しかしこの日、一番活躍した日本人選手は、途中出場で2得点を挙げたNECのストライカー、塩貝健人だった。

 1-2の劣勢だった68分、ピッチに入った塩貝は、同点に追いついて迎えた84分にヘッドで3-2の勝ち越し弾、後半アディショナルタイムにもロングシュートを決めて、チームに4−2の勝利をもたらした。

「触れる位置にボールが来たら、身体のどこかしらに当てて、どんな体勢でも決めてやろうと思ってました。ドンピシャでしたね」と1点目のヘディング弾を振り返った塩貝は、続いて相手GKの頭越しに決めた40メートルのロビングシュートについて語った。

「(佐野がボールを持ったときに)『来い!』と思ってました。外してたら怒られていたかもしれないですけれど、結果、オーライです。(『怒られる』とは?)もうちょっと前にボールを運んでからシュートでも良かった。でも完璧に行ったので、良かったです」
 
 NECの勝利を決定づけるスーパーゴールに、戦況を見守っていた仲間たちもベンチから一斉に飛び出して、塩貝をもみくちゃにした。

「誰かわからないけれど、ずっとつねられていた。痛かったっす。多分、航基くんです。(みんなに祝福されて)嬉しかったですね。完全アウェーで、サポーターの数は少なかったですけれど、声がすごく聞こえていた。サポーターの前で決めることができて良かった」

 フェイエノールト戦に照準を合わせるため、塩貝は国際マッチウイーク期間中の4日間のオフを返上して鍛えてきた。

「フェイエノールトのスタジアムはすごくいいし、日本人のストライカー(上田)もいる。その人の前で見せつけたいという思いが去年からあったけれど、2試合とも出場機会がありませんでした。今回は『絶対にこの試合だな』とフェイエノールト戦に焦点をあてて、"4オフ"を返上して追い込んで、結果を残すことが出来ました。しかし、ここからです」
 

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