ビッグクラブからの“脅迫”も?…CLの出場枠変更案の背景にあるもの

2016年08月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

本選出場枠の半分が占められることで生まれるメリットとは?

リーグ王者による戦いという本来の存在意義を捨てた上で生まれたCLだけに、より豪華で利益を求める方向に進むのは当然のことか。 (C) Getty Images

 2018-19シーズンからチャンピオンズ・リーグ(CL)の出場枠が変更され、4大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア)の各上位4チーム全てに本選出場権を与えられるようになるのではないかと、欧州の各メディアで報じられている。
 
 現在のCLの出場枠は、UEFAランキングの上位3か国に関しては自動本選出場が3チーム、プレーオフ出場が1チームとなっており、4位(~6位)は自動本選出場が2チーム、プレーオフ出場1チームが1チームとなっている。
 
 もし報道通りになるのであれば、今後は本選出場枠(32)の半分が4大リーグのクラブで占められることとなる。
 
 4大リーグは固定ではなく、ランキングによって変動するため、今後はポルトガル、フランス、ロシアといった国がこれに入ってくる可能性もあるといわれるが、もしこの方式が施行されれば、逆転どころか、ますます4大リーグとその他の差が広がる可能性が高い。
 
 このような、現在の上位4か国以外の国にとっては到底受け入れがたい変更を、なぜUEFAは断行しようとするのか? 報道によれば、前UEFA会長のプラティニが多くの国に門戸を広げた結果、レベルの低下が生じたため、としている。
 
 しかし、この説明よりも、人気の高いビッグクラブを差し置いてマイナークラブが上位に勝ち進むことによる経済的デメリットの方をより重視した変更と考える方が、はるかに納得がいくだろう。
 
 プラティニは、メジャークラブがプレーオフで弱小国のクラブに足元をすくわれるのもサッカーの一部であり、エンターテイメントのひとつだと考えていたが、新体制のUEFAでは、そのようなスポーツ的な考えは受け入れられないようだ。
 
『ESPN』によると、UEFAのクラブ・コンペティション委員会を束ねるポルトガル・サッカー連盟会長のフェルナンド・ゴメスは、半年におよぶ各国クラブとのタフな交渉の末に、今回の方式変更決定で同意に達したと伝えられている。
 
 上位4か国のリーグに属するクラブのなかには、CLの出場ボイコットをちらつかせて、己の要求を飲ませようとするクラブもあったという。「欧州スーパーリーグ構想」の阻止のためにも、委員会は一部のクラブに譲歩し、妥協点を見出した。
 
 新しい方式は3シーズンのサイクルで行なわれるという。これで、さらに多くのスポンサーが見込めるという経済的メリットは容易に想像できるが、果たしてピッチ上から生み出される恩恵に、どれだけの人間が与ることができるだろうか。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事