[本田泰人の眼]ボリビア戦で強烈なインパクトを残した上田綺世。ファーストプレーで停滞していた空気をガラリと変えた

2025年11月19日 本田泰人

メモリアルゲームに相応しい勝利

途中出場の上田。ピッチに立ってすぐの身体を張ったポストプレーは見事だった。(C)SOCCER DIGEST

[国際親善試合]日本 3-0 ボリビア/11月18日/国立競技場

 11月シリーズの第2戦、日本は南米のボリビアと対戦した。前半に鎌田大地のゴールで先制し、後半に途中出場の町野修斗と中村敬斗のゴールし、3-0で快勝した。

 来年のワールドカップに向けた年内最後の強化試合は、森保一監督にとって国際Aマッチ通算100試合目。メモリアルゲームに相応しい勝利となった。

 勝負の分かれ目は、1-0で迎えた67分の交代だ。小川航基から上田綺世、南野拓実から中村、久保建英から町野へ。前線3枚を総入れ替えした。

 それまで日本は1点を奪ってから、ボリビアの嫌らしいボールキープに苦しみ、なかなか相手を崩せずにいた。しかし、ピッチに立った途中出場の3人が次から次へとチャンスを作り出し、71分、78分と交代からわずか9分間で2ゴールを奪ってみせた。

 流れを引き戻した森保監督の采配も見事だったが、期待に応えた3人のパフォーマンスは高評価に値する。

 特に強烈なインパクトを残したのは、ワントップに入った上田だ。

 ピッチに立つやいなや、「ガツン!」という音が聞こえるくらいの身体を張ったポストプレーでボールをつないだ。その流れからボールは右サイドへ展開。堂安律の狙いすましたクロスにヘディングで合わせたのも上田だった。

 上田のこのファーストプレーは、ボリビア守備陣に恐怖や緊張を与えると同時に、停滞していた空気をガラリと変えた。巧みな抜け出しと正確な横パスで中村のゴールをお膳立て。結果を残すあたり、頼もしさを感じさせてくれた。
 
 その上田の活躍と比べてしまうと、ワントップの2番手として期待されている小川のパフォーマンスはなんともさみしい限りだ。

 開始早々にはキーパーと1対1の絶好機を決め切れなかった。20分過ぎには右クロスから決定的なヘディングシュートを放ったが、これも止められた。

 結果論ではあるが、チャンスをモノにしていれば、前半のうちに2-0、3-0と突き放し、勝負を決めることができたはずだ。"仕留め切る"のがストライカーの条件であるならば、この日の小川には合格点を与えられない。

 試合全体を通して、評価できる選手は67分から出場した3人を含め、あとは堂安か。久保や南野も悪くはなかったが、ボリビアレベルの相手なら普通にやれて当然だろう。
 

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