ボヌッチやゴディンに振られたチェルシー。ベンフィカの逸材CBに標的を変更

2016年08月15日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

8月に入って戦略の見直しを余儀なくされた。

2012年に母国のヴェステロースからベンフィカに引き抜かれたリンデロフ。ここ数年で一気に成長し、いまやビッグクラブから狙われる存在に。(C)Getty Images

 ヨーロッパ中が注目するベンフィカのCBヴィクトル・リンデロフは、強靭な肉体を持つゴール前に立ちはだかる山脈のような存在だ。モダンフットボールのDFには欠かせない、柔軟な足技と機動力も備えている。
 
 まだ22歳だが若過ぎるわけではなく、もちろん未熟なわけもない。スウェーデン代表の一員として臨んだEURO2016では、CBと右SBで3試合にフル出場し、貴重な国際経験を積んだ。
 
 リンデロフはミランやローマの補強リストにも入っているが、いま引き抜きに最も熱心なのはチェルシーだ。アントニオ・コンテ新監督は不安定なディフェンスを改善するため、今夏の就任後ずっと新CBをフロントに強く求めている。
 
 指揮官は当初、ユベントスとイタリア代表で指導した教え子レオナルド・ボヌッチ(ユベントス)をはじめ、ディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリー)、アントニオ・リュディガー(ローマ)、カリドゥ・クリバリ(ナポリ)などを望んでいたが、いずれも交渉が難航。8月に入って戦略の見直しを余儀なくされた。
 
 メルカート終幕まで3週間を切り、もう失敗が許されないチェルシーは、コンテの要望を受けて、リンデロフの契約解除に必要な違約金3000万ユーロ(約36億円)を満額支払う準備を整えつつある。
 
 しかし、ベンフィカもまだ諦めてはいない。より好条件の年俸、そして高額の違約金を含む契約延長を提示して、引き留めを図っているのだ。 
 
 リンデロフ本人は揺れており、まだチェルシー行きの決断を下していない。あと1年はベンフィカに留まってさらなる成長を目指すか、それともプレミアリーグという最高レベルの舞台にジャンプアップするのか――。最後は本人の決断次第だ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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