【Jリーグ×CPA|特別対談】プロスポーツ選手が現役のうちから会計ファイナンスを学ぶ意義。セカンドキャリアにも繋がるメリットとは

2025年11月10日 サッカーダイジェスト編集部

会計ファイナンスの知識習得をサポート

Jリーグ経営基盤本部財務経理部部長の峯健太郎氏(左)と、CPA会計学院講師の池田駿氏(右)。タイアップ企画として、両氏が「現役選手」に焦点を当てた対談を行なった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグは「アジアで勝ち、世界と戦う」ことを目ざし、フットボールと同様にクラブ経営基盤の強化にも取り組んでいる。Jクラブの2024年度の売上高は60クラブ合計で1725億円(前期比114パーセント)と、過去最高を記録。ただ、個々のクラブに目を向ければ財務の専門家が限られ、経営の健全性などに課題を抱えるケースもある。

 こうした現状を踏まえてJリーグとCPAエクセレントパートナーズ株式会社(以下、CPA)は、Jクラブの経営基盤の強化や選手のセカンドキャリア支援などを目的に、25年4月にサポーティングカンパニー契約を締結。このほど、会計ファイナンスの知識習得をサポートするCPAの公認会計士講座、米国公認会計士講座の募集を行ない、29人のクラブスタッフからの申し込みがあった。

 本対談では、公認会計士資格を持つJリーグ経営基盤本部財務経理部部長の峯健太郎氏と、元プロ野球選手で引退後に公認会計士試験に合格し、現在はCPA会計学院で講師を務める池田駿氏に、プロスポーツ選手が現役のうちから会計ファイナンスを学ぶ意義、セカンドキャリアにも繋がるメリットについて語ってもらった。

※本稿はサッカーダイジェスト本誌25年12月号から転載。一部、加筆・修正。

――◆――◆――
――JリーグとCPAは現在どのような取り組みを行なっていますか?

峯 CPAは、公認会計士や米国公認会計士の資格取得を目ざすスクールを運営されています。それをクラブスタッフや選手にも提供してくださるということで、今年の夏に全60クラブの担当者が集まる財務部門の会議の場で、CPAの国見健介社長に会計リテラシーの必要性についてご説明いただきました。その後、Jリーグ経由で合同説明会などを実施し、10月に1回目の参加募集を行なった結果、29名のクラブスタッフから申し込みをいただきました。これから順次、進めていく予定です。

――そのスクールで、池田さんは講師をされているんですね。

池田 そうですね。私は大学を卒業後、社会人チームを経て、いくつかのプロ野球チームでプレーさせていただきました。21年シーズン限りで現役を引退した後は勉強に励み、23年8月に受けた公認会計士試験に合格して、現在は税務の科目を中心に担当しています。

――プロ野球選手として活躍されていたなかで、資格の勉強も両立していたのでしょうか。

池田 1年間ほど両立していまして、その期間はとても大変でした(笑)。ただ、プロの厳しさに比べれば平気な感覚もありました。

峯 現役選手は厳しいプロの舞台で活躍することに意識を集中しているので、引退後の姿を想像することはなかなか難しいと思います。クラブスタッフも優勝を目ざして、目の前の業務と日々格闘していると思います。池田さんのおっしゃる通り、選手活動やクラブ業務と資格の勉強の両立は本当に大変だと思いますが、クラブスタッフから29名の応募があったのは、この取り組みをスキルアップの良い機会と捉えていただいた結果かなと感じています。

池田 それこそ私は現役時代、どう頑張っても1日3時間くらいしか勉強時間が確保できなかったので、クラブスタッフになると、さらに確保できない可能性もありますよね。そのなかで自分自身のスキルアップのために手を挙げていただいたのは、なかなかできないことだと思います。
 

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