「来年だと遅い」小林祐希が移籍決断の理由を明かす。名波監督は「戻ってこなくていい」

2016年08月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

ようやく交渉が成立。「待たされる辛さもあったが、それもいい勉強になった」

G大阪戦は主将を務めた小林。試合後に行なわれたセレモニーでは、涙をこらえてチームやサポーターへの感謝の想いを語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「僕は、サッカーが好きだし、サッカーで成功して、家族を幸せにしたい。ハングリー精神は、Jリーグに来る外国人選手と同じだと思っています。日本代表としてW杯に出場して優勝したい。究極の目標は、ビッグクラブで活躍して欧州チャンピオンズリーグで優勝することです」
 
 自ら認める"ビッグマウス"はプロスポーツ選手として、至極まっとうな野心の発露だ。ボールを蹴り始めた時から胸に抱き、すでに中高生時代から明確にしてきた海外移籍という目標は、J2でもがいていた時にもまったくブレることがなかった。そうして技を磨いてきた天才肌のレフティが、夢への大きな第一歩を踏み出した。
 
 オランダ1部のヘーレンフェーンからの話があったのは6月。
「ヘーレンフェーンは選手層が薄く、夏のマーケットでの補強は必須事項だったと思う。自分をずっと欲しがってくれていると分かっていました」と、小林は好感触を得ていたが、クラブ間の交渉が長引いた。
 
「試合にだけ集中していましたが、気にはなりました。待たされる辛さもありましたが、それもいい勉強になったと思います」
 移籍が発表された12日のエコパでの練習後、小林は引き締まった表情でそう語った。
 
 第2ステージに入り、磐田は勝利に見放されている。「チームの勝ち負けはすべて自分の責任」と、常日頃からそう言い続けてきた小林に、そうした状況でチームを出て行くことについて、忸怩たる思いがないわけではない。
 
 だが、今回の移籍は、不動のトップ下として活躍する小林への獲得オファーを、クラブ側が拒否するどころか後押しした結果、成立したものだ。
 
 名波監督は、12日の練習後に次のように述べて小林の欧州移籍にエールを送っている。
「サッカー選手の夢ですし、クラブとしても叶えてあげたい一心でしたが、ちょっとした書類上のやりとりなどで行き違いなどがあり、ここまで延びてしまったのは残念。チームとして勝てていない状況で送り出すのは申し訳ない。まだまだ若いし、ビッグになってほしい」
 

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