「高みの維持こそが挑戦だ」11戦13発、上田綺世が“絶好調なワケ”をファン・ペルシ監督が詳しく解説!日本代表エースへの“小さなアドバイス”も明かす【現地発】

2025年11月03日 中田徹

繰り返した「怪我をしない身体づくりに励んでいる」

フォレンダム戦でも2ゴールを挙げた上田(右)。得点ランクの首位を快走する。(C)Getty Images

 フェイエノールトのエースストライカー、上田綺世は11月1日のフォレンダム戦で2ゴールを記録し、3-1の勝利に貢献した。9月のチーム最優秀選手、10月のオランダリーグ最優秀選手に選ばれた上田は、開幕11節にして早くも13ゴール目。昨季は6節のNAC戦から4試合で3ゴールを決めるなど、9月から10月に掛けて好調時があったものの、負傷でその流れが止まってしまった。

 だから、上田にとって今季のテーマのひとつが"怪我をしない身体づくり"。その成果が開幕から表われ、得点王争いトップに立つばかりでなく、後半アディショナルタイムに入ってもインテンシティーの高いデュエル、最後まで走り続ける走力が光っている。

 フォレンダム戦では74分にセム・スタインが負傷退場したことで、フェイエノールトの中盤が薄くなってしまった。この時点でチームは2-1のリード。上田はここから"追加点狙い"と"1点差逃げ切り"を同時に図り、MFバレンテがアタッキングゾーンでボールを失うと、自陣に駆け戻って相手選手のドリブル突破をストップすることでフォレンダムのカウンターを阻止した。こうしたハードワークをした後、89分にセットプレーから豪快なヘディングで、チームを3-1の勝利に導くダメ押しゴールを決めたのだから、上田が充実のときを過ごしているのが伝わってくる。
 
 フォレンダム戦後はDF渡辺剛とともにドーピング検査を受けたため、本人の声を聞くことはできなかったが、前節のPSV戦後、上田にコンディションについて話をしてもらった。

――今季の上田さんは幾度か「怪我をしない身体づくりに励んでいる」と言っています。どのように取り組んでいるのでしょうか?

「昨年、ハムストリングを怪我したし、日本人のトレーナーの方(中田貴央氏)と連携しながら今も継続して取り組んでいます。自分の体調に素直になって、疲労がどうかということにちゃんと向き合い、それを伝えています。先を見ながらリスクをどのように避けるのか、リスクを汲み取っていくのか。特に日本代表の試合後は、時差ボケなどいろいろな要因が入るのでなおさら怪我をする可能性が高くなる。そういうところをチームと話し合って、メディカル部門と連携しながら負荷や試合時間の調整をしています。(怪我が)起きるときは起きてしまうので仕方がないですけれど、自分ができる最善の準備をしたいと思います」

 上田のコメントを裏付ける試合がふたつある。ひとつ目は9月24日に行なわれたヨーロッパリーグ(EL)で、ブラガ(ポルトガル)とのアウェーゲームに帯同せず、オランダに残ったこと。この試合を完全休養に充てたことで、上田はアストン・ビラ戦(EL)、フローニンヘン戦、ユトレヒト戦(ともにオランダリーグ)の3試合を連続フル出場した。この間、上田はリーグ戦で3ゴールを奪っている。

 ふたつ目は、日本代表から戻った直後のヘラクレス戦。開始39分でハットトリックを完成させた上田は個人記録を伸ばすことより、今後のコンディションを優先し、前半いっぱいで退いて、23日のパナシナイコス戦(EL)から始まる連戦に備えた。パナシナイコス戦では終盤81分間まで出場。PSV戦から今回のフォレンダム戦まで、上田は現在2試合連続フル出場中だ。

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