【SBSカップ】低調な出来に同点ゴールの吉平翼がチームメイトに苦言。「もっと自分を出して良い」

2016年08月13日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「必ず点を取って逆転までしてやろうという気持ちしかなかった」

静岡ユースとの一戦でベンチスタートだった吉平は、77分から出場。その2分後に貴重な同点弾を決めた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[SBSカップ第1試合]静岡ユース1(4PK2)1U-19日本代表/8月12日/愛鷹広域公園多目的競技場 ※前後半40分ハーフ
 
 12日に静岡ユースとの第2戦を迎えたU-19日本代表は、終了間際に1-1の同点に追いついたものの、PK戦の末に敗れて今大会2敗目を喫した。
 
 残念な結果に終わったが、最後まで「意地」を見せようと戦っていた選手が存在したのは確かだろう。終了間際に同点ゴールを奪った吉平翼(大分)は、そのうちのひとりだと言って差し支えない。
 
 U-19コスタリカ代表との第1戦では2トップの一角で先発したが、この日はベンチスタート。そんな吉平に出番が訪れたのは、77分だった。
 
「負けられない相手なんでまずは同点にして、少ない時間でしたけど、必ず点を取って逆転までしてやろうという気持ちしかなかった」
 
 強い覚悟を胸にピッチに飛び出してから2分後、さっそく見せ場が訪れる。岩崎悠人(京都橘高)の左クロスを受けた菅大輝(札幌U-18)のヘディングシュートがGKに弾かれると、こぼれ球にいち早く反応。泥臭くゴールへと押し込み、土壇場で試合を振り出しに戻して見せた。
 
 結局、逆転弾こそ奪えなかったが、吉平の強い気持ちは見事に結果へつながり、ひいては、今後の代表メンバー生き残りへ強烈なアピールになったのは言うまでもない。出場時間はわずかながらも、とりわけ、前半からどこか覇気がなく、消極的な戦いが目立ったこの日のチームにとり、異様な存在だったと言っても良いだろう。
 
 実際、試合の大半をベンチで見守っていた本人も、前半からのチームの戦いぶりには違和感を覚えていたと言う。
 
「このチームでプレーするのが初めての選手が多いなかで、思い切ってやれていないのかなという風にしか見えなかった。もっとやらないといけないと思うし、上手くいかないならその意思を伝えるべきだと思う。やるべきことはたくさんあったはずで、それをまったくできていなかった」
 
 辛辣とも受け取れる言葉だが、内山篤監督が「前半は50歳のサッカー」と評したように、その出来はお世辞にも褒められたものではなかった。
 
 味方が中盤でボールを保持しても、前線で動きが見られない。そんなシーンは序盤から何回も散見され、前線からのプレスの勢いもどこか中途半端。その結果、敵陣からロングボールを放り込まれて、危うくピンチを招きかける場面も目に付いた。
 

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