【リオ五輪】不完全燃焼のオーバーエイジ3人は手倉森監督が望む「A代表のレギュラークラス」にのし上がれるか?

2016年08月12日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「A代表のレギュラーじゃない彼らに、レギュラークラスに成長してほしくて呼んだ」

安定したポストプレーと献身的な守備を見せた興梠だが、大会を通じて1得点は決して満足のいく数字ではないだろう。A代表でのさらなる台頭を期待したい。写真:JMPA/小倉直樹

 興梠慎三、塩谷司、藤春廣輝とオーバーエイジ3枠をフル活用して挑んだリオ五輪は、1勝1分1敗でグループリーグ敗退に終わった。同じく3人(吉田麻也、徳永悠平。林彰洋はバックアップメンバー)を組み込み、44年ぶりのベスト4に輝いたロンドン大会に比べるとやはり物足りない結果と言わざるを得ない。
 
 興梠と塩谷は3試合連続でスタメンに名を連ねたが、コロンビア戦で痛恨のオウンゴールを喫した藤春は、スウェーデン戦で出場機会がないまま、サルバドールの地を後にした。最年長の興梠にしてもポストワークで起点を作った一方、ゴールはPKによる1得点のみで、シュートも計3本止まり。塩谷はナイジェリア戦とコロンビア戦で計4失点に絡み、スタートダッシュ失敗の一因となってしまった。
 
 
 当初名前が挙がっていた、本田圭佑や香川真司、清武弘嗣、長友佑都ら欧州組、あるいは3年連続Jリーグ得点王の大久保嘉人のようなビッグネーム招集は叶わなかった。彼らの招集が実現していれば違う結果になっていたかも……という想いが湧くのはごく自然な流れだが、今大会は代表チームに選手の拘束権がなく、クラブの協力を得られなかったのだからその議論はナンセンスだ。ルールに則ったうえで、手倉森監督は"敢えて"A代表でレギュラーを掴んでいない3人を招集したのである。
 
 スウェーデン戦後の囲み取材で、指揮官はオーバーエイジについて次のように言及している。
 
「攻撃面の形は見えたけど、守備面を2週間で融合させるのは難しい? それも経験ですよ。世界を経験したヤツをオーバーエイジで連れていけという意見もあったなかで、俺はA代表のレギュラーじゃない彼らにレギュラークラスまで成長してもらいたくて、呼んだからね。ミスに絡んでしまった部分もありますけど、痛い思いをして選手は成長できるんだなというところを信じています。彼らも良い経験をしたんじゃないかなと」

次ページ「この経験をサッカー人生で生かさなければ、呼んでもらった意味がなくなってしまう」(塩谷)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事