【鹿島】西大伍が体現する「ちょっとしたこと」が、非常事態のチームを蘇らせる

2016年08月11日 サッカーダイジェスト編集部

「チームはちょっとしたことで良くもなるし、悪くもなる」(西)。

身体を張って攻守両面で奮闘を見せた西。正確なクロスで好機を演出したが、チームを勝利に導けなかった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 スルガ銀行チャンピオンシップで、コロンビアのインデペンディエンテ・サンタフェに0-1で敗れた鹿島。これで公式戦4連敗。頭に包帯を巻いた西大伍は、冷静に試合を振り返った。

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「(相手に)流れを持っていかれたわけではないけど、点を入れられる前にミスが何個か続いた。相手は前半からファウルを取ろうというプレーをしていたのに、そこで簡単にファウルをしてしまった。
 
 そういうところですかね。負けていても調子が悪いとは思っていない。チームはちょっとしたことで良くもなるし、悪くもなる。そこは難しいところ」
 
 リーグ戦は3連敗中と苦しむチームにとって、その連敗中に失点に絡んでいた西個人にとっても、このタイトルをひとつのきっかけにしたい試合だった。だが、チャンスを決めきれず、サンタフェにとって唯一の決定機だったセットプレーでやられた。
 
 西が言う「ちょっとしたところ」。例えば一歩。距離にすれば数10センチほどだが、1試合90分で考えれば、その積み重ねが大きな違いになり、得点にも失点にもなる。
 
 この試合で言えば、観察力か。相手が得点機会をセットプレーに求めていると全員が察知できていたら、ペナルティエリア付近での対応も変わってきたかもしれない。
 
 前半に相手と空中戦を競り合い、試合後に右目上を8針縫う裂傷を負った西には、その「ちょっとしたところ」を意識しているプレーが攻守に見られた。
 
 右サイドの高い位置でボールを持てば、質の高いチャンスを生み出した。12分、金崎夢生へ決定機につながるクロスを供給。84分にはPKを獲得した中村充孝へのピンポイントクロスを送ったのも、この右SBだった。
 
 視野を広く保つボールの受け方ができていて、次のプレーへの判断が速く、パスの正確性も持ち合わせている。
 
 もともと、中盤出身の選手らしく攻撃では高い技術を発揮してきた。シャルケの内田篤人が「鹿島に戻ってきたら、大伍とポジションは争いたくないな。上手いからさ」と言うほどだ。
 

次ページもがく姿勢を見せ、浮上するきっかけを探している。

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