“森保リスペクト”のブラジル人記者が考察。日本はなぜ王国を初撃破できたのか。北中米W杯で優勝できる?「すごく印象に残った」評価爆上げの選手は?

2025年10月16日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ブラジルとの試合では見たことがない光景」が広がった

広島訪問時に購入したユニホームを着て、インタビューに応じてくれたチアゴ・ボンテンポ記者。(C)SOCCER DIGEST

 森保一監督が率いる日本代表は10月14日、国際親善試合でブラジル代表と東京スタジアムで対戦。3-2で激闘を制し、過去11敗2分(5得点35失点)と大の苦手にしていたサッカー王国を史上初めて下した。

 鮮やかな逆転劇だった。26分にパウロ・エンリケ、32分にガブリエウ・マルチネッリに被弾し、0-2で折り返すも、後半に怒涛の猛反撃。52分に南野拓実、62分に中村敬斗、71分に上田綺世が得点し、見事に歴史的勝利を掴んだ。

 日本サッカーを熟知するブラジル人記者、チアゴ・ボンテンポ氏はこの一戦をどう受け止めているのか。森保監督がかつて指揮したサンフレッチェ広島のユニホームを身にまとった彼は、サンパウロと東京を繋いだインタビューで、鋭い見解を示してくれた。

――◆――◆――
 
――日本が勝てた要因はどこにあると考えていますか?

「前半はブラジルがほぼ完璧な試合をして、2点を先行しました。あの時は『今回もブラジルの楽勝かな』という考えがありましたが、後半に日本の体勢が変わり、森保がいつも求める、ボールがない時のプレッシャーがやっと結果を出しました。そこにブラジル人選手のミスも重なり、日本人選手が自信を持ったのだと思います。

 2022年の親善試合では、日本は良い守備を見せましたが、ほとんど攻撃ができませんでした。結果は0-1だけど、日本とブラジルの差はまだそんなに近付いていない気がしました。でも今回は、ブラジル相手に攻撃的な戦いができることを見せました。ブラジルのミスもありましたが、ほとんどは日本の戦い方のおかげで勝利できたのだと思います。約20分間で3点を決め、たくさんのチャンスも作りました。これはブラジルとの試合では見たことがない光景です」

――森保監督へのリスペクトを込めて、広島のユニホームを着ているとのことですが、采配において、どんな部分が良かったですか?

「0-2にされてからの采配が良かったと思います。特に後半、ブラジルにプレッシャーをかけたこと、伊東純也の投入が逆転勝利の鍵になったと思いました。試合の最後には守備も安定し、ブラジルに決定的なチャンスをほとんど作らせませんでした。鈴木彩艶がビッグセーブをするような場面もなかった。日本の守備は、特に後半は素晴らしかったと思います。

 田中碧や相馬勇紀も最後の15分でチームに貢献しましたし、3バックの渡辺剛、谷口彰悟、鈴木淳之介も前半は問題がありましたが、後半はすごく集中して、1対1の対決でも良いプレーを見せていました」

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