【リオ五輪】痛恨オウンゴールから一夜。励ましあり、イジリあり、手倉森ジャパンの“一体感”に救われた藤春の決意

2016年08月09日 小田智史(サッカーダイジェスト)

亀川と岩波が「反省してへんやん!!」とイジれば、中島は「次は俺にアシストして」とメッセージ。

試合後に目を赤く腫らせ、言葉に詰まっていたコロンビア戦から一夜明け、藤春はしっかりと気持ちを切り替え、時折笑顔も見せた。 写真:JMPA/小倉直樹

 手倉森ジャパンは現地8月8日、マナウスで練習を行ない、コロンビア戦で痛恨のオウンゴールをしてしまった藤春廣輝は、時折笑顔を見せながらリカバリーのメニューを消化した。
 
「あの瞬間はメンタルもだいぶやられたし、そこで終わってしまうところだった」
 
 五輪の大舞台で、サッカー人生初のオウンゴールを犯すショッキングな事態を受け入れ、前を向くことができた背景にあったものとは――。
 
 同日の練習初めにチームで円陣を組んだ際、手倉森監督は敢えて藤春のオウンゴールについて触れ、「カモシカが鉄砲(猟銃)で撃たれたみたいだったな」と"ネタ"にして選手たちの笑いを誘った。そこで、すかさず立ち上がったのが、藤春の両隣にいた亀川諒史と岩波拓也だ。笑っている"先輩"を見て、「反省してへんやん!!」と突っ込みを入れ、雰囲気を和ませた。
 
 さらに、アトランタ五輪でオウンゴールを経験している秋葉忠宏コーチ(編集部・注/1次リーグ第2戦のナイジェリア戦試合終盤、飛び出したGK川口能活をかわすように相手が蹴ったボールが、不運にも全速力で守備に戻ってきた秋葉氏の胸に当たりゴールへと吸い込まれた)が、「俺も経験したことがあるんだよ。気にすることはない」とフォロー。コロンビア戦で同点ゴールを決め、敗戦の危機からチームと藤春を救った中島翔哉も「次は俺にアシストして」と声掛けしたという。
 
「嬉しかったですね」
 
 藤春は、手倉森ジャパンの「温かさ」「一体感」を噛み締めるように振り返る。
 
「周りもだいぶ気を使ってくれていて、みんな声をかけてくれるし、『気にすんな』と言ってくれています。落ち込んでいたらやっていけないので、悔しい想いをするのは試合の時だけにして、しっかり切り替えるしかない。ひとりだけ暗いとチームの空気も悪くなりますから」

次ページ「まだ挽回するチャンスはあるし、次のスウェーデン戦で力を見せるしかない」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事