「もしかして、もうキツイのかな」大怪我から不死鳥のごとく蘇った日本代表CBを、STVV指揮官も手放しで称賛!「本当のトップ」「好影響を与える良いお手本だ」【現地発】

2025年09月30日 中田徹

日本人対決となった「リンブルフ・ダービー」

負傷明け後は尻上がりに調子を上げている谷口。ヘンク戦では終始制空権を掌握した。(C)Belga Image/AFLO

 9月28日、大王わさびスタイエン・スタディオンで開催された"リンブルフ・ダービー"はアウェーのヘンクが2-1でシント・トロイデン(STVV)に勝利した。

 ヘンクの快速ウインガー、伊東純也は57分に1-1に追いつくFKを決めた。そのFKはペナルティエリア左側すぐ外から、ファーポストに低い弾道で吸い込まれていったものだ。

「速くて低いボールをファーに蹴った。味方がうまく流れ込んでくれたので、キーパーが見えなかったのかもしれません」

 その10分後にも、似たような位置から伊東がFKを蹴り、カーブのかかった浮き球で再度ファーポストを襲ったが、これはGK小久保玲央ブライアンにセーブされた。

「ブライアンくんがニアに寄ってるかなと思い、自分でもニアに蹴ると匂わせたんですが、ファーに蹴るのを読まれて止められちゃいました」

"ペナ外左"の2連続FKに思わず「純也ゾーン」と名付けたくなった。本人に「今までFKで決めたゴールは?」と尋ねると、しばし思い起こそうとしてから「プロではどうですかね。ないかもしれない。CKとサイドのFKは蹴るんですけれど、正面からのFKは蹴らないので。今日はサイドのFKがたまたまゴールに繋がりました」と答えた。

 今後、正面からのFKを蹴ることもあり得るのか?

「いやあ、別に蹴りたい選手が蹴ればいいと思います。『お前が蹴れ』と言われたら、俺が蹴りますけれど。両チームのサポーターにとって大事な試合なので、やっぱり勝って良かったですね。負けてたら相当タフなことになってました」
 
 この勝利でヘンクは14位から9位まで順位を上げた。一方、3連敗となったSTVVだが、それでも6位という好位置に付けている。

 23分、FW後藤啓介のゴールが取り消され、55分にはDFライン・ファン・ヘルデンの相手ボールへのタックルでレッドカードが出て、後半アディショナルタイムには小久保がファウルをアピールしたが、ヘンクの決勝ゴールが認められた。STVVのワウター・フランケン監督は判定を嘆いた。

「いい試合でした。ボール保持時・非保持時で高いクオリティーを示せた。10人になってもアタックしようと試みました。レッドカード、ゴールの取り消し、そして相手の決勝点...。今日の判定は我々にとってすべて不利に働きました」

 そんな指揮官に「今日の谷口彰悟は?」と尋ねると「トップ」と答えた。

 4分、STVVの先制ゴールは、ヘンクのMFブライアン・ハイネンのオウンゴールによるものだったが、競り合った谷口の名が得点者としてアナウンスされた。ここから谷口が試合の制空権を握る。FWユセフ・エラビとの空中戦は完勝。伊東からのクロスもヘッドでタッチラインの外へ大きくクリアする。後藤の幻のゴールも、その始まりは谷口のヘッドだった。

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