「完璧なパフォーマンス」セルビアに5発圧勝のイングランド代表。英メディアは手のひら返しで称賛「ついに栄光への可能性を垣間見せた」【現地発】

2025年09月12日 田嶋コウスケ

セルビア戦はトゥヘル政権の集大成

セルビアに5発圧勝。トゥヘル監督が率いるイングランドがW杯予選で5連勝を達成した。(C)Getty Images

 イングランド代表は9月9日、北中米ワールドカップ予選のセルビア戦を敵地で戦い、5-0で圧勝した。この結果、イングランドは予選5連勝。残り3試合で5ポイントを積み上げれば、本大会出場が決まる状況となった。

 敵地で難しい戦いになると予想された今回のセルビア戦。5ゴールを奪っての快勝に、英メディアも称賛を惜しまなかった。スポーツサイトの『ジ・アスレティック』は「就任から9か月が経ち、セルビア戦はトゥヘル政権の集大成となった」と評価し、次のように評論している。

「イングランドは期待に応える完璧なパフォーマンスを披露した。代表チームで"すべてが噛み合う試合"は滅多に起きないが、セルビアの夜にまさにそれが実現した。

 予選で最も難しいとされたこの試合を、圧倒的な勝利で乗り越えた。今のイングランドは守備が堅固だが、セルビア戦では規律を保ちながら、両センターバックも得点を挙げた。トーマス・トゥヘル監督は、これまでイングランド代表に求めてきた『より明確で、より強度が高く、より目的意識のあるチーム』をセルビアで体現した。ようやく『トゥヘル体制のイングランド像』が形となった」

 試合序盤からイングランドはボール保持で主導権を握り、セルビア陣内に押し込んだ。33分、キャプテンのハリー・ケインがデクラン・ライスのCKを頭で合わせて先制。直後には、モーガン・ロジャーズの華麗なフリックからノニ・マドゥエケが代表初ゴールを決め、リードを広げた。この2点目は、攻撃陣の連動性と若手の台頭を象徴する場面だった。

 後半に入っても勢いは衰えない。セルビアサポーターによるレーザー妨害で試合が一時中断する難しい状況でも冷静さを保ち、再開後まもなくエズリ・コンサが3点目を奪取。これで勝負はほぼ決した。
 
 さらにセルビア主将ニコラ・ミレンコヴィッチの退場で数的優位に立つと、ライスのFKからマルク・ゲイが押し込んで4-0に。終盤にはオリー・ワトキンスが得たPKをマーカス・ラッシュフォードが決めて試合を締めくくった。

 ただし、前節のアンドラ戦までは評価が芳しくなかった。FIFAランク174位のアンドラを相手に苦戦し、2-0の辛勝。内容も精彩を欠いた。

 これまでトゥヘル体制に厳しい論調を示してきた英紙『デーリー・テレグラフ』も、セルビア戦での快勝を受けて論調を変えた。同紙は「"懐疑者を信奉者に変える"と語ったのはリバプール就任時のユルゲン・クロップ監督だが、トゥヘルも同じことができるだろう。今、イングランド代表は離陸した」と評し、さらにこう続けている。

「我々は、トゥヘル体制の『アイデア』や『指揮官が何を望んでいるのか』を、この試合で確認できた。これまでの予選で最も完成された試合だった。敵意むき出しのセルビアのスタジアムで、試合終了を待たずに空席が目立つほど、相手ホームを沈黙させた。

 トゥヘル監督に課された使命は、ワールドカップのトロフィーを勝ち取ることにある。就任から6戦目にして、ついに栄光への可能性を垣間見せた。これでイングランドは予選5戦全勝、しかも失点もゼロだ。ただ今回の試合は、それまでとは次元の違う試合内容だった」
 

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