3バックでも4バックでも…なぜ森保ジャパンの守備は崩壊したのか。アメリカ戦で浮き彫りになった戦術の綻び

2025年09月10日 清水英斗

最初の15分はうまく対処したが…

森保監督率いる日本代表は0-2でアメリカに完敗を喫した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 日本時間9月10日の朝に行なわれた国際親善試合のアメリカ戦は、30分と64分に失点を喫した日本が0-2で敗れた。

 システム3-4-2-1対3-4-2-1。日本もアメリカも、3バックは1トップ・2シャドーに、ウイングハーフはウイングハーフに、各自が1対1でマッチアップしている。俗に言う「ミラーゲーム」のかみ合わせだ。

 序盤の15分は互角かあるいは若干、日本のほうが優勢だった。試合が始まった直後なので、高強度で走ってマンツーマンではめ切り、高い位置でボールを奪ってのショートカウンターが中心。日本もアメリカも、シャドーの鈴木唯人や伊東純也、プリシックやセンデハスが中盤に下りてビルドアップの出口になろうとしたが、これを自由にさせず、両チームともに左右CBが敵陣まで追走した。

 このオールコート・マンツーマンのようなミラーゲームが動き始めたのは、15分過ぎだ。アメリカは両ボランチのアダムスとロルダンが、サイドに広く動き回るようになり、可変ビルドアップを試みた。

 それを日本がマンツーマンで追走すると、空いた中央のスペースにシャドーのプリシックやセンデハスが動き、狭い局面に人を集めて、当てて落としてのワンタッチコンビネーションで日本のマンツーマンを剥がしていく。徐々にビルドアップから前進を成功させるようになった。
 
 それ以前の時間帯でも、アメリカはFWバロガンが荒木隼人との1対1を活かして飛び出したり、あえて関根大輝の側に寄って身体で抑えてプリシックをフリーにするなど、マンツーマンを剥がす工夫をいくつか仕掛けている。

 しかし、日本はバロガンの飛び出しを荒木が封じ、マークずらしに関しても、素早くマークを受け渡した荒木がプリシックやセンデハスを追撃に行くなど、最初の15分はうまく対処した。

 ところが、そうした小局面の駆け引きではなく、アダムス、ロルダン、プリシック、センデハスの動き回りが大きくなると、徐々にマンツーマンは問題を対処し切れなくなる。大外や逆サイドまで動く選手をどこまで追うべきか。アメリカは動きながらのコンビネーションが早く、巧みなので、一瞬戸惑っている間にプリシックらがフリーになってしまう。

 日本は徐々にアメリカにボールを回され、30分に先制を許すと、その後は一層、相手に主導権を握られるようになった。
 

次ページ4バックはあまりに不慣れで拙かった

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