レジェンドの帰還をヘンクも大歓迎。復帰弾で“10番”を誇示。伊東純也は日本サッカー界のトレンドを作った1人ではないか【現地発】

2025年08月29日 中田徹

イトー! イトー! イトー!

「つま先でチョンと触っただけ」。伊東の絶妙フィニッシュに現地も大盛り上がりだった。写真:PsnewZ/アフロ」

 3年ぶりにヘンクに復帰した伊東純也のゴールに観衆が酔いしれた。

 8月28日、ヨーロッパリーグ(EL)プレーオフ、レフ・ポズナン(ポーランド)との第2レグ、31分に伊東が先制ゴールを決めると、スタジアムアナウンサーが「ジュンヤ!」、サポーターが「イトー」と延々と掛け合いを続け、それがいったん静まった後も、興奮したゴール裏のサポーターは「イトー! イトー!」と叫ぶのを止めなかった。 

「やられすぎると、ちょっと恥ずかしいですけれど(笑)。それだけの期待があるということで、応えられるように頑張りたいです」

 試合はポズナンが2-1で勝ったが、2試合合計6-3でヘンクがELリーグフェーズに進出した。

 MFサトルベルガーからのパスをペナルティエリア内右側で受けた伊東は、ターンしてゴールに向かうと、冷静に右足アウトフロントでシュートをゴール左隅に流し込んだように思えた。しかし本人は「いや、つま先でチョンと触っただけです」と明かす。

「(DFとの間合いが)ギリギリだったので、空いているところに転がしただけです。ちょっとタッチが長くなっちゃったので、うまく逆に良い感じのところに行きました。触れたんで良かったです。

(ヘンク復帰後ホームでの)最初の試合で決めれたのは、やっぱりデカい。結果を残さないと難しくなってくると思う。年齢も年齢ですし、結果で示していかないといけないと思ってます」
 
 ゴールセレブレーションでは、両手を使って10番の背番号を誇らしげに示した。2019年2月、ヘンクに移籍した時の背番号は右ウインガーらしく7だった。3年半を過ごしたこのチームをベルギーリーグやカップ戦で優勝に導き、29ゴール・49アシストという立派な数字を残したうえ、爆発的なスピードと年ごとに磨かれていったテクニック、相手を混乱に陥れるプレッシングなど、記憶にも残るプレーヤーとして多くの人に愛された。

 スタッド・ドゥ・ランスに移籍した後も、23年9月には日本代表の一員としてセゲカ・アレーナに凱旋し、血気迫るドリブルからPKを奪い、自らそれを決める千両役者ぶりで地元ファンから喝采を浴びた――そんなレジェンドの帰還にクラブが用意したのが"10"だった。

 いくつかの選択肢があったなか、古巣復帰を決めた背景を伊東が語る。

「いろんなことを考えて決めました。ヘンクが30歳代の選手を完全で獲ったことがないと言っていたので、そこまで本当に欲しているのであればと思った。(表情を緩ませながら)ディミドリ(・デ・コンデ/GM)が毎日のようにメッセージをくれました。いろいろ選択肢があるなかで、一番良いと思って決めました」

 アカデミー出身の選手や、スカウトした若い選手を育てて売るのがヘンクの基本姿勢。だから26歳の誕生日を1か月後に控えた伊東を獲得した時点で「この歳の選手を獲るのはヘンクにしては珍しいこと」と言われていた。

 今回のポズナン戦ではDFのスメッツ(21歳)、コンゴロ(19歳)、メディナ(20歳)、MFのカレツァス(17歳)、サトルベルガー(21歳)、FWのアデデジ・ステルンベルグ(20歳)と20歳前後の未完の大器が先発としてピッチに立った。こういう事実を淡々と並べるだけでも、26歳で入団し、32歳で帰還した伊東に対するクラブの評価がストレートに伝わってくる。
 

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