EL不出場も気にせず。パレス鎌田大地のプレミア2年目がスタート。4つの大会で「良い成績を残せるようやっていきたい」【現地発】

2025年08月12日 田嶋コウスケ

際立っていたパレスのしぶとさ

リバプール戦で無念の負傷交代の鎌田。ただ限られた出場時間で見せ場を作った。(C)Getty Images

 鎌田大地のプレミアリーグ2年目がスタートした。

 所属するクリスタル・パレスは、8月9日に"サッカーの聖地"ウェンブリー・スタジアムで行なわれたコミュニティ・シールドでリバプールと対戦。「FA杯覇者のパレス」対「プレミアリーグ王者のリバプール」の一戦は2-2のスコアで決着がつかず、PK戦の末にパレスが勝利を収めた。

 シーズン開幕を告げるこの一戦で、鎌田は3-4-2-1のセントラルMFで先発した。15分に鮮やかなスルーパスでCFジャン=フィリップ・マテタの絶好機を演出するなど、序盤から存在感を示した。

 しかし前半の途中に、接触プレーで右膝を痛めた。25分の給水タイムにドクターの治療を受け、いったんはプレーを再開したものの、その3分後にピッチに座り込んだ。このまま鎌田は無念の交代──。試合後の記者会見で、オリバー・グラスナー監督は「深刻な怪我ではないと思うが、本人が痛みを感じた。開幕から1~2試合は欠場する可能性がある」と説明した。

 ミックスゾーンに姿を見せた鎌田も、まず右膝の状態について語った。

「そんなにひどくはないと思いますけど、検査をしないと分からないので、なんとも言えない。(記者:接触プレーで痛めたのか?)相手選手の足を蹴ってしまい、(膝が外側に)開いてしまった感じです」

 試合後、鎌田は足を引きずることもなく普通に歩いており、ミックスゾーンでも大きな痛みを感じている様子はなかった。いずれにせよ、11日に予定されている精密検査で詳細が判明する見込みだ。
 
 今回のコミュニティ・シールドで際立っていたのは、パレスのしぶとさだった。

 開始早々にリードされたものの、鎌田のスルーパスを起点にPKを獲得し同点に追いついた。その後、リバプールは新戦力の右SBジェレミー・フリンポンがGKの頭上を抜く技ありシュートで勝ち越した。

 だがパレスは諦めず、鎌田との交代で入ったウィル・ヒューズがボールを奪い、アダム・ウォートンがスルーパスを通して貴重な同点ゴールにつなげた。二度にわたり追いついた粘り強さが光った。

 PK戦では、分析チームがリバプールのキッカーの傾向を事前に予測し、その情報を給水ボトルに記してGKに渡していた。「スタッフと一緒に相手のPKを徹底的に分析したことが、セーブの決め手になった」と、2本のPKを止めたGKディーン・ヘンダーソンは胸を張った。

 これでパレスは、FA杯ファイナルのマンチェスター・シティ戦に続き、ウェンブリーでビッグクラブ相手に連勝を飾った。鎌田はチームの勝負強さと課題について、こう語った。

「昨季から積み上げができていることと、(オフの移籍市場で)選手が抜けてないのはすごく良いことだと思う。どのチームであっても、ウチとやるのは難しいはずです。リバプールのような上のクラブとやる分には良いと思いますけど、逆に自分たちがボール保持した時に課題がある。そういう試合展開になると難しくなるかなと感じます」

 鎌田自身にとっても、今シーズンでパレス在籍2年目となる。チームメイトが鎌田の長所と特性を理解したうえでスタートできるのは、大きなアドバンテージになるはずだ。

 この点を日本代表MFに聞いてみると、「慣れはすごく大きいと思います。そういう部分で余裕は少なからず、このクラブに来た時よりもある」と返答。堅守速攻と強度の高いプレーを得意とするパレスのプレースタイルに適応できていることは大きいと語った。
 

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