マティッチとクアドラードがチェルシー退団志願! ともにユーベ行きを希望

2016年07月29日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

マティッチはすでに1か月もユーベと話し合いを進めている。

チェルシーからユーベへの移籍を希望しているマティッチ(右)とクアドラード(左)。はたして結末は?(C)Getty Images

 全員が同じ方向に向かって船を漕いでいない――。これはチームスポーツの世界においては、極めてネガティブな状況だ。
 
 ネマニャ・マティッチとファン・ギジェルモ・クアドラードは、「チェルシーを出たい」という意思を明確にしている。どうやら2人はセリエAで、それも揃ってユベントスでプレーしたいらしい。
 
 マティッチはもう1か月もユーべと接触を続けており、代理人のヴラド・レミッチもすでにそれをオーナーのロマン・アブラモビッチに伝えている。
 
 ところが、マティッチを重要戦力と考えているアントニオ・コンテ新監督が拒否権を発動。先日の会見でも「マティッチは私にとって非常に重要な選手だ。彼自身もそれを分かっていると思う。世界屈指のミッドフィルダーのひとりだろう。彼は売らないよ」と明言している。
 
 ポール・ポグバのマンチェスター・U行きが決まれば、ミラレム・ピャニッチ(ローマから)に続く主力級のMF(筆頭候補がマティッチだ)の獲得に向かう予定のユーベの前には、かつての自分たちの指揮官が立ちはだかっているというわけだ。はたして、セリエA王者はこの強固な壁を崩すことができるか。
 
 クアドラードも状況は似ている。なにしろ当時フィオレンティーナにいた彼を獲得してくれなかったことが、ユーベ監督辞任の理由のひとつになったほど、コンテはこのスピードスターを気に入っている。
 
 しかし、こちらは指揮官の思惑通りにいきそうにない。昨シーズンはユーベにレンタルされた彼がイタリアに残りたいのは、個人的な事情から。コンテはそれに理解を示し、移籍を容認する姿勢を見せている。
 
 このウイングにはユーベ以外に、フィオレンティーナ時代に師事したヴィンチェンツォ・モンテッラを新監督に招聘したミラン、さらにインテルも獲得に動こうとしている。新たな展開が待たれるところだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
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※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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