「もっとできたのに」18歳で日の丸を背負った山田直輝が明かす本音。“怪我がなかったら”。代表初招集の栄光と若さゆえの未熟さ

2025年08月02日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

「心の準備ができていなかった」

華々しいキャリアの背景に何があったのか。山田に18歳の若さでデビューした日本代表について訊いた。

 18歳で日本代表の扉を開いた山田直輝。その華々しいキャリアの裏側で、本人が抱えていたのは「嬉しさ」だけではなかった。

 浦和レッズでのプロ入りからわずか約5か月で掴んだ夢の舞台。しかし、当時の心境を振り返る言葉は「もったいなかった」や「もっとこうしておけば良かった」という意外なものだった。スター選手が揃う環境で、若き日の山田は何を感じ、何を学んだのか。その率直な胸の内に迫る。※第2回(全3回)

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 2009年に浦和ユースからトップチームに昇格。同年5月に山田は、18歳という若さで国際親善試合のチリ戦に臨む日本代表に初選出された。誰もが羨むエリート街道だったが、本人の心境は複雑だったという。

「自分の夢が叶うという感覚で、すごく嬉しかったんですけど、それと現実はちょっと違った。心の準備ができていなかった、というのが正直なところです」

 当時の岡田武史監督が率いる代表チームには、本田圭佑や岡崎慎司、遠藤保仁ら錚々たる面々がいた。しかし、極度の人見知りだったという山田は、その輪の中に飛び込んでいくことができなかった。

「ガンガン話しに行けば良かったなとか、もっと打ち解けに行けば良かったなというのは振り返ると思います。もっともっと色々吸収できたのに、もったいなかったな、もっとこうしておけば良かった、という思いがありますね」

 若き代表選手に対する周囲の期待とは裏腹に、山田の中では不完全燃焼の思いが渦巻いていた。

「日本代表に入ってどうでしたか、みたいな質問を結構受けるけど、多分みんなは、『もうめっちゃ嬉しくて』みたいな話を期待すると思うんです。でも僕の中では『もっとできたのに』というほうが強かった」

 その言葉は、彼の誠実さと向上心の高さを物語っていた。
 

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