3戦勝利なしのG大阪。柏戦の敗北のなかで見えた〝戦術アデミウソン″という光明

2016年07月24日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

守備陣が低調だった一方で最前線で気を吐いた。

柏戦で先発出場したアデミウソン⑨。前半は巧みなドリブルと上質なポストワークで攻撃の核になっていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト編集部)

[J1第2ステージ5節]柏3-2G大阪/7月23日/日立柏サッカー場
 
 G大阪の調子がいまひとつ上向かない。昨季優勝を逃したチームは、横浜からアデミウソンや藤本らを加えて開幕前の下馬評は相当に高かった。しかし、蓋を開けてみれば、年間で7位(9勝5分8敗)で、第2ステージも同じく7位(2勝2分1敗)と、うだつの上がらないシーズンを過ごしている。
 
 J1第2ステージ5節の柏戦は守備陣が低調だった。相手のFWに対して寄せが甘く、簡単に突破を許したり、球際で競り負けたりと、インテンシティの低さを露呈。対する柏にクリスティアーノという強烈な"個の力"があったとはいえ、あまりに簡単にやられすぎた。長谷川監督も「失点の仕方があまりにも簡単すぎた。もっとゴール前の寄せであったりとかを厳しくしなければいけない。同点に追いついてここからというときに、またカウンターからクリスティアーノに3発目をやられてしまった。リスク管理の部分で、後手を踏んでしまっていた」と悔やんだ。
 
 ただ守備陣の調子が悪かった一方で、2点のビハインドをすぐさま返した攻撃は目を見張った。得点の形こそ、セットプレーと相手DFのミスによるオウンゴールだったが、それ以外にも流れるようなパスワークで柏守備陣を崩し、ゴールを脅かすシーンが見られた。
 
 そのなかでひと際輝きを放ったのが、この日2試合ぶりに先発出場したアデミウソンだ。
 
 1トップのポジションに入ったアデミウソンは、随所に能力の高さを披露。ボールロストもほとんどなく、前半はパーフェクトに近いパフォーマンスでG大阪の攻撃を牽引し、まさに"ブラジルの至宝"と謳われた能力を発揮していた。
 
 しかし長谷川監督が「アデミウソンがFWで入って、非常にキレのあるプレーをしてくれたのは、ここ2戦でなかった」と語るように、今季鳴り物入りで加入したブラジル人アタッカーはチームへの順応に苦しんだ。第1ステージは13試合・4得点と物足りない出来で、第2ステージに入っても持ち味を発揮できず、3節の大宮戦と続く福岡戦は、スタメンから外されていた。

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