なぜFC東京は点を取れない?川崎戦で表面化した先発ムリキのデメリット

2016年07月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

「全員が自分の役割をしっかりやらなきゃ勝てない」。河野は怒りを隠さずに、そう語った。

下がってボールをさばくシーンが目立ったムリキ。川崎の守備陣にとっては、大きな脅威ではなかったはずだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ストレートにモノを言う河野は、チームメイトに対する怒りを隠そうとはしなかった。
 
「サポートがある時はいいですけど、来る時と来ない時があるので、どっちか1枚は来て欲しい。僕も要求しなくちゃいけないですけど、相手の意見も聞いて、こっちの意見も言って。喧嘩になってもいいから言い合うくらいじゃないと、もうダメかなと思います」
 
 河野が言及したのは、ムリキとN・バーンズが組んだ2トップの仕事についてだ。かなり自由にポジションを変えるムリキと、シンプルに最終ラインの裏を狙うN・バーンズ。どちらの選手も自分の得意分野で勝負しようという意図は感じたが、それがチームとしての厚みのある攻撃につながっていなかった。河野は、さらに続ける。
 
「(2トップの)1枚は絶対に真ん中にいてくれないと(攻撃するのは)難しい。開いたら開きっぱなしで、動き直しとかも少ない。だから、僕らが中に入るけど、それでも守備は僕らが戻るっていうのは、やっぱりおかしい。全員が自分の役割をしっかりやらなきゃ勝てないと思う。そこは言って、ちゃんと確認しなきゃいけないなと思います」
 
 もちろん、河野は文句を言っているのではない。勝利に近づくために、いかにチームを機能させるか。個々が役割をしっかりこなさなければ、勝点3は近づいてこないと言いたいのだ。
 
 こうした河野の意見は、至極真っ当だろう。どれだけ個人能力が高い選手が揃っていたとしても、意思疎通ができていなければ十分に力を発揮できない。個々が自分の特長だけを押し出そうとすれば、当然どこかで歯車が狂い、チームは機能しなくなる。
 
 それを避けるために、2トップが歩み寄るのか、それとも河野や東が務める2列目の選手がハードワークを継続するのか。その答えを指揮官が明示していないのであれば、本人たちが話し合って出すしかない。
 
 とはいえ、この試合を見る限り、修正すべきは2トップ。ムリキとN・バーンズのほうではないかというのが、個人的な見解だ。

次ページムリキをスタメンで起用するリスクとリターンは見合っていない。

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