平均187.4センチ。韓国の猛攻を跳ね返し続けた日本の“五枚の壁”。セカンド回収や中盤のプレスを意識した設計も奏功した【E-1】

2025年07月16日 河治良幸

ポジションの取り合いやヘディングも強い選手たち

後半は押し込まれる時間が長かった日本。だが万全の高さ対策で相手の攻撃を跳ね返し、1点を守り抜いた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 森保一監督が率いる日本代表は、E-1選手権の3試合目で地元の韓国に1-0の勝利を飾り、2022年大会に続く優勝で連覇を果たした。

 開始8分に、GK大迫敬介(広島)のフィードから垣田裕暉(柏)がポストプレーで絡み、川辺駿(広島)が左ワイドに展開すると、相馬勇紀(町田)がボールを縦に運んでから右足でクロス。ボックス内のジャーメイン良(広島)が左足でボールを捉えて、守護神チョ・ヒョヌが守るゴールに叩き込んだ。

 大会5点目となるジャーメインのゴールで先制した日本は、前半を優位に進めたが、後半に韓国のホン・ミョンボ監督は193センチのFWイ・ホジェを投入し、ロングボールを起点に攻勢を強めてきた。

 押し込まれる時間も増えるなかで耐える日本に対して、韓国はさらにイ・ホジェと同じ193センチのFWオ・セフンを入れて、高速ドリブラーのムン・ソンミンを併せた変則3トップで、パワープレーを仕掛けてきた。

 すると森保監督は、キャプテンマークを巻いて奮闘していた相馬に代えて、DF植田直通(鹿島)を投入。その植田を左のセンターバックに、古賀を相馬のいた左ウイングバックに回した。
 
 もともと右ウイングバックは192センチの望月ヘンリー海輝(町田)が担っていたため、190センチの安藤智哉(福岡)、186センチの荒木隼人(広島)、186センチの植田、183センチの古賀による平均187.4センチの"五枚の壁"が完成。彼らはサイズもさることながら、ポジションの取り合いやヘディングも強い選手たちだ。

 その一角を担った安藤は「植田君を入れて、より高さを出して跳ね返してましたし、コミュニケーションはすごく取れてたので。みんなで粘り強く守れていた。オ・セフン選手みたいなタイプが2人出てきたので、よりボールにはっきり行こうというのはコミュニケーションを取って、セカンドだったりも共有できていたかなと思います」と振り返る。

 5バックで構える局面もあるが、サイドにボールがある時には右の望月と左の古賀が前に出てプレッシャーをかけ、簡単にクロスを上げさせないようにしていたことも大きい。

 韓国は終盤になるとイ・ホジェとオ・セフンを前線に並べる3-5-2にチェンジして、2列目からスピードのあるチョン・スンウォンとカン・サンユンが飛び出す形を取ってきた。しかし、日本はボランチの稲垣祥(名古屋)と宇野禅斗(清水)がセカンドボールの争奪戦で奮闘し、空中戦からの地上戦という相手の狙いを発揮させなかった。
 

次ページ世界一を目ざすなら高さ対策は必須

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事