圧勝感はなかった大きな要因は2つ。香港戦の出来では韓国に勝てないかも。個人の発掘で気になったのは相馬、中村、垣田、古賀【E-1】

2025年07月09日 清水英斗

思ったより香港に攻められた印象も残った

ゲームキャプテンを務め、2Aをマークした相馬(7番)の活躍もあり、森保ジャパンが6-1で大勝した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

[東アジアE-1選手権]日本 6-1 香港/7月8日/龍仁ミレウスタジアム 

 7月8日に行なわれたE-1選手権・第1節の日本対香港は、6-1で日本が勝利した。

 ジャーメイン良の4得点が効き、26分の時点で5-0と大差を付けて快勝した日本代表。だが、試合全体で見ると、思ったより香港に攻められた印象も残った(香港のシュート数は7本、枠内2本)。先月に行なわれた最終予選のインドネシア戦(6-0)は、被シュート0本で完封したが、そうした普段のA代表のパフォーマンスに比べると、この香港戦は試合のコントロールがやや弱く、スコアほどの圧勝感はなかった。

 大きな要因は2つ。1つはトランジション(攻守の切り替え)だ。A代表のアジアでの戦いは、失ったボールをカウンタープレスで即時奪回し、敵陣で試合を支配し続けることが特徴になっている。しかし、E-1日本代表はこの点が上手くいかなかった。失ったボールを奪い返せず、無理に突っ込んでファウルを繰り返し、相手にボールと時間を与えすぎた。

 なぜ、即時奪回に失敗したのか。E-1代表はほぼ初顔合わせのJリーグ選抜で、練習したのは1日だけ。インスタントチームなので連係が乏しい。そのため、相手の背後を取る前にクサビが引っかかり、香港に前向きで攻撃を開始される場面が多かったのは、1つ。

 また、後半の序盤を除くと、日本のボランチは川辺駿と稲垣祥の片方が常に高い位置を取り、3-1-6のように攻め続けたため、トランジション時の縦パスで置き去りにされる人数が多かった。相手の起点となるスペースを抑え切れず、予測した動きも乏しい。バランスを保てなかった。

 それでも、このチームは大戦略として激しいデュエルで即時奪回する方針があるので、遅れても無理に突っ込む。そしてファウル、ファウル。その繰り返しだった。
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 2つ目の要因は、ロングボールだ。香港は自陣深くではボールを保持しつつ、ある程度の前進をすると、ロングボールからシンプルに人数をかけてきた。CB古賀太陽はビルドアップでは素晴らしいプレーをしたが、荒木隼人や安藤智哉と並ぶと、やはり空中戦ではターゲットに選ばれてしまう。香港は身体能力の高いFWがいたため、セットプレーを含め、ハイボールの対処は苦戦した。

 もちろん、インスタントチームなので粗が目立つのは仕方ない。むしろ1戦目であることを踏まえれば、良い内容だろう。ただ、3戦目の韓国戦を念頭に置くと、この香港戦のパフォーマンスでは勝てないかもしれない。短い準備期間でどこまでチームへの影響力を発揮し、成長できるか。ここが鍵だ。

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