香港相手に無双。“E-1男”相馬勇紀の超越した存在感。三笘ら強力なライバルに対抗するためにも、さらなる奮起を【現地発】

2025年07月09日 元川悦子

左サイドをグイグイと突破

香港戦で腕章を託された相馬。2Aなど期待に応えるパフォーマンスだった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 2022年大会に続く優勝を目ざし、E-1選手権を戦っている日本代表。オール国内組の陣容で、7月8日の初戦・香港戦は、5日のJ1リーグ戦から移動を伴う中2日という過密日程で迎えた。

 ゆえに、誰がスタートから出るか予想しづらいところがあったが、森保一監督は初代表の6人を起用。その1人であるジャーメイン良(広島)が26分までに4ゴールという大爆発を見せ、前半だけで勝負を決めた。

 最終的に6-1の圧勝で白星発進となった一戦で、異彩を放ったのが、左ウイングバックで先発フル出場した相馬勇紀(町田)である。前回大会のMVP&得点王が、その4か月後の2022年カタール・ワールドカップ行きを現実にしたのは周知の事実。彼はE-1選手権という独特の大会で、何をどう表現すればいいかを誰よりもよく理解しているはずだ。

 ある意味、"E-1男"とも言うべき背番号7は今回、キャプテンマークをつけてプレー。開始早々から左サイドをグイグイと突破し、得点チャンスを次々とお膳立てしていく。

 開始4分と10分のジャーメインの得点は、いずれも相馬のクロスから。前者は巧みな切り替えしから右足で供給し、後者は大外から左足を振り抜いた。
 
「(相馬の)クロス精度が高いというのは、今に始まったことじゃない。昔からJリーグ、代表でもよく見ていて、本当に良いボールが入ってくるなと思っていたので、信じていいポジションを取れた」とジャーメインも舌を巻いていたが、相馬は水を得た魚のように躍動したのである。

 20分の稲垣祥(名古屋)のチーム3点目も、川辺駿(広島)のボール奪取から相馬を経由して背番号15の豪快ミドル弾につながった。これはアシストにカウントされず、この日は2アシストにとどまったが、目に見える結果をキッチリと残すところはさすがだ。

 加えて言うと、今季の町田での相馬は左ウイングバックではなく、シャドーを主戦場にしている。森保ジャパンでは左MFや左ウイングバックで何度も使われた分、戦術やポジショニング、攻守のバランスが身体に染みついているのだろうが、ブランクをまったく感じさせないのも彼の賢さ。

 森保監督も3日のメンバー発表会見で「戦術・相馬」と発言したが、1人で局面をガラリと変えられる超越した力は本当に貴重だ。

【画像】日本代表の香港戦出場16選手&監督の採点・寸評を一挙紹介!前半で4ゴールと爆発した13番が驚異の最高点!代表デビュー組の評価は?

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