インテルに悔しい逆転負け。浦和の渡邊凌磨が痛感した世界トップとの差「それを埋めるためには一人ひとりの技術を上げることじゃないですか」【現地発】

2025年06月22日 元川悦子

ルイス・エンリケのマークに奔走

世界の大舞台で目に見える結果を残した渡邊。(C)J.LEAGUE

「インテルを相手に勝点を取るために? スカウティングをしているんで、それをやるだけです。点を取るために?(自分が)シュートを打っていきたいです」

 アメリカで行なわれているクラブ・ワールドカップに参戦している浦和レッズ。現地6月21日のインテル戦を控え、渡邊凌磨は多くを語らず、静かに闘争心を燃やしていた。

 17日のリーベル・プレート戦(1-3)では、Jリーグで見せているような躍動感やゴール前の凄みが出せなかった印象で、本人も試合後のフラッシュインタビューで「力の差というよりも、もうピッチに立った瞬間、負けている部分があったような気がして、それがすごく悔しい」と発言していた。

 インテル戦ではその不完全燃焼感を払拭するしかない。今回こそ切れ味鋭いパフォーマンスが求められた。

 その期待に応えるかのように、開始11分、渡邊はいきなり結果を出す。右サイドを突破した金子拓郎のクロスから右足で仕留め、先制点を奪ったのである。

「右サイドを崩してくれたんで、チーム全体のゴールかなと思います」と本人も冷静にコメント。1点をリードしたことで逆に試合運びが難しくなると感じ、警戒心を募らせた部分もあっただろう。

 案の定、そこから先の浦和は守備一辺倒に陥ってしまう。3-5-2をベースとするインテルはかなり可変するスタイル。両ウイングバックが大外に開き、ボランチやインサイドハーフが流動的に立ち位置を変えてくる。
 
 そのため、浦和の金子と渡邊の両サイドハーフは最終ラインに引いて6バック気味の状況で守らざるを得なかった。特に渡邊は相手の右ウイングバックのルイス・エンリケのマークに奔走。相当な守備負担を担うことになった。

「あれだけ守っていたら、なかなかラインを上げられないし、前にボールが入っても孤立する。それは仕方ないのかなと思う反面、自分たちの時間を増やしたいなら、きついなかでもラインを上げて、孤立させないようにする必要があったと感じます」と、渡邊は振り返る。それはサミュエル・グスタフソンら他のメンバーも言及していた点だ。

 渡邊としても攻撃のギアをもっと上げたかったのが本音だろう。前半を1-0で終えたのは悪くなかったが、後半に入ってからも浦和はペースアップができず、じわじわと体力を奪われていったのだ。

 それでも、70分には渡邊が自陣でボールを奪取し、その流れから松尾佑介がドリブルで持ち上がって5対2のようなチャンスが生まれ、最終的には渡邊がフィニッシュを迎えた。だが、シュートは枠を大きく超えていく。

 この日の浦和のシュート数は5本で、相手の25本を大きく下回った。だからこそ、限られたチャンスで2点目を奪いたかった。そこは本人も大いに悔やんだところだろう。

 ただ、そういう状況でもラスト15分を切ったところまでは1点のリードをしぶとく守り続けていた。そのまま逃げ切れれば最高のシナリオだった。

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