【藤田俊哉の目】W杯出場の名手も率先して市井の人々とプレー!? オランダのサッカー文化を実感した1日

2016年07月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

草サッカーで使用する天然芝3面のピッチが無料。

指導者としてオランダに渡り3年目を迎えている藤田俊哉氏。日々、貴重な経験を積んでいるようだ。(C) Getty Images

 オランダ2部リーグ・VVVフェンロのコーチとしてヨーロッパでの指導者人生をスタートさせている元日本代表MFの藤田俊哉さん。現地で日々感じたことを、月1回のペースでお届けします。今回は、元オランダ代表で現在VVVフェンロのスカウトを担当しているスタン・フォルクス氏との交流を通して、日本では考えられないようなオランダサッカーの「懐の深さ」を紹介します。
 
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 オランダに渡って2年半が過ぎた。毎回、シーズンオフにはいろんな経験を味わえているが、今回のオフもオランダならではのちょっとした楽しい出来事があった。
 
 5月13日にプレーオフ敗退とともに、チームもオフへ突入。そのちょうど1週間後、ある人物から一本の電話をもらった。
「トシヤ、元気かい? 明後日、僕の地元のクラブで大会があるんだ。時間があったら一緒にサッカーでもしないか?」
 
 スタン・フォルクスからだった。現在、VVVフェンロのダイレクターという立場で、スタッフとして一緒に働いている彼から、草サッカーのお誘いだった。フェンロ市内の地元クラブのグラウンドにいろんな人たちが集まるという。せっかく声をかけてもらえたし、個人的にも久しぶりにゲーム形式でボールを蹴りたかったから、当日現地で再会することを約束して、電話を切った。
 
 2日後、約束していたクラブハウスへ。スタン・ファルクスと合流し、その日の流れを聞いてみる。草サッカー大会は、8チームのリーグ戦で優勝を争い、1試合あたり15分×1本でローテーションしていく。「7試合もするなんて聞いていない!」と思ったけれど、スタンをはじめとしたオランダ人のフレンドリーさと、グラウンドの素晴らしさに、ただただ笑顔がこぼれてしまった。
 
 チームメイトもいい人ばかりだし、綺麗に刈られている天然芝を3面すべて無料で使わせてもらえるなんて、日本では考えられない。ユニホーム、パンツ、ソックスすべて貸してもらって、いざ試合へ!
 
 結果は……。僕がプレーしたチームは1勝6敗。チームに貢献できたとは言えなかったけれど、鮮やかな天然芝のグラウンドで3時間もサッカーを満喫できて、本当に楽しい時間を過ごした。
 

次ページ元オランダ代表の名DFが率先して声掛けし、地元の人々とサッカーを楽しむ。

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