激しい肉弾戦、止まらない血。英3部の“This is the football”で「一番鍛えられたのは身体の強さ」【岩田智輝 1万字インタビュー#3】

2025年06月07日 元川悦子

「削られまくったし、初めて足も縫った(苦笑)」

英3部のタフな環境で逞しさが増した岩田。写真:元川悦子

 2024-25シーズンのイングランド・フットボールリーグ1(3部に相当)の顔ぶれを見ると、かつて三都主アレサンドロが練習参加したチャールトン、中田英寿の現役最後のクラブとなったボルトン・ワンダラーズ、中山雄太(現・町田)が在籍したハダースフィールド・タウン、宮市亮(現・横浜FM)がプレーしたウィガンなど、日本でも知名度のあるクラブが少なくない。

 その1つであるバーミンガム・シティに身を投じた岩田智輝は、「僕が知っていたのは、ハダースフィールドくらいでした」と苦笑する。

「9月頭に新チームに合流し、毎週のように『ここはどこなんだ』というチームと対戦しました。場所も分からないし、相手のことも知らないんで、毎日が新鮮で楽しかったです。

 バーミンガムはイングランドの中央部で、坂元達裕選手がいるコベントリーや岡崎慎司さんがいたレスターも結構近くて、あちこちに移動しやすかった印象です。

 英語に関しては、スコットランドの時から難しかったですけど、僕に対してはみんな優しい言葉で話しかけてくれたんで、分かりやすかったですね。日本にいた頃から週1回ペースでレッスンを受けていて、今も続けていますけど、ミーティングは問題なく理解できるようになった。意思疎通や生活面は問題なかったです」と彼は言う。

 ただ、3部のサッカースタイルは、かつて在籍した横浜FMやセルティック時代とはかけ離れたところがあった。
 
「3部のサッカーはセンターフォワードとセンターバックに大きな選手を置いて、プレッシャーをかけられたらすぐに蹴るチームが半分以上でしたね。たまにつないでくる相手もいましたけど、クオリティはそこまででもなかった。そこはやっぱり『3部だな』と感じることもありましたけど、たまに突出してうまい選手もいて、興味深いリーグでした。

 そういう環境で一番鍛えられたのは、身体の強さ。耐久性がついたのかなと思います。筋トレはずっと続けていましたけど、今季はシーズン通算で約60試合あり、僕は45試合に出ましたけど、ほぼ連戦で調整くらいしかできないなかでもフィジカルは強くなりました。

 正直、削られまくったし、初めて足も縫った(苦笑)。3回くらい連続で甲を踏まれて、1週間くらい血が止まらなかった。ある試合では、ボールと関係ない位置から前線に駆け上がったら、目の前で構えていたディフェンダーが思い切りぶつかってきて、『This is the football』と言われました。それだけ荒々しい環境なのは間違いないですね」と、岩田は伝統的なキック&ラッシュの中に身を置き、"サッカーの源流"を実体験した様子だ。

「イングランドは大型のワントップが必ずと言っていいほどいますけど、彼らは毎回ボールが来るんで、競り合いがうまいですし、裏抜けも巧み。身体を張ってボールを収めるという仕事にも長けていました。ある意味、ハリー・ケインを少し粗削りにしたような感じかな。そういう選手と対峙して、自分自身も感覚を磨くことができたかなと思います」

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