フランスでプレーしていた父の想いを胸に。流経大柏のプロ注目“マルチロール”メンディー・サイモン友のたゆまぬ自己研鑽

2025年06月03日 安藤隆人

青森山田戦でプレミア初スタメン&フル出場

流経大柏のトップとセカンドでプレーするメンディー。CB、FW、サイドハーフ、トップ下と4つのポジションをこなす。写真:安藤隆人

 トップチームはプレミアリーグEASTで首位を独走し、セカンドチームもプリンスリーグ関東2部で首位を走る流通経済大柏。

 このどちらの成績にも貢献しているのが、プロ注目の2年生、メンディー・サイモン友だ。187センチのサイズとスピードを誇り、圧倒的な空中戦の強さを見せる彼はCB、FW、サイドハーフ、トップ下と4つのポジションで躍動するマルチロールだ。

 FWやトップ下ではポストプレーほか前線でキープしてタメを作ったり、スピードに乗ったランニングでラインブレイクを仕掛けたりし、サイドハーフでは縦突破からのクロスや、逆サイドからのクロスへの飛び込みで能力を発揮。CBではカバーリングの鋭さと対人の強さ、フィード力を見せつける。

 昨年から年代別日本代表に選出されると、今年4月にはU-17アジアカップのメンバーにCBとして選ばれた。

 成長著しいメンディーだが、チームにおいて絶対的な存在になっているわけではない。U-17アジア杯では出番は一度も巡ってこなかった。帰国してからも開幕から負けなしでスタートダッシュを切った流経大柏でスタメンを掴めなかった。

 本人は「もちろん悔しさもありました」と口にするが、決してネガティブにならなかった。

「(U-17アジア杯の)準々決勝で対戦したサウジアラビアの選手たちは技術も高くて、サイドはスピードがあって、フォワードの身体能力が高かった。ベンチから見ていて日本とは違うリズムで、『こういう相手と真っ向から戦える選手にならないといけない』と感じました。

 あと、サウジアラビアにいた時も(流経大柏の)トップとセカンドなどの結果はずっと気にしていました。結果を見るたびに『また勝っている、調子良いな。頑張らないとスタメンに戻れないな』とずっと思っていました。なので、帰ってきてからのこの状況は、正直覚悟していましたし、そこから奪い返すという気持ちでやれています」
 
 厳しい現実から目を背けることなく、自分を磨いてくれる必要なものとしてポジティブに捉えて、争いに真っ向から挑んだ。

 5月3日のプレミアEAST第5節・横浜FCユース戦で、68分にFWとして投入されると、プレミア初ゴールをマーク。翌日にはプリンス関東2部第5節・ヴァンフォーレ甲府U-18戦に左サイドハーフで途中出場。翌週もプリンス関東2部第6節・健大高崎戦で左サイドハーフとして先発して1-0の勝利に貢献すると、その翌日にはプレミアEAST第7節・東京ヴェルディユース戦に途中出場するなど、目まぐるしい日々を送った。

「トップでプレミア、セカンドでプリンス関東2部の2つを経験させてもらえていることは僕にとってプラスですし、ポジションも最初はメインがセンターバックだったので、フォワードの動きなど、どうして良いか分からなかったのですが、エノさん(榎本雅大監督)や山根(巌コーチ)さんも僕のポテンシャルに期待をして、前で使ってくれていると思っているので、それに応えられるようにやるだけです」

 この努力が実り、プレミアEAST第9節・青森山田戦でついにスタメンの座を掴むと、189センチのFW大藤颯太と共に前線でツインタワーを形成。制空権とポストプレー、2人で息のあった裏抜けで攻撃陣を牽引。70分には途中出場のFWオゲデベ有規の逆転弾をアシストして、プレミア初スタメン&フル出場を2-1の勝利で飾った。

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