【CLファイナル徹底展望】実力差は非常に接近。前線の火力はパリSGが上回るか。インテルはセットプレーの得点力にも期待

2025年05月30日 河治良幸

コレクティブな組織力が強み

ビッグイヤーを手にするのはどちらか。CL決勝でパリSG(上)とインテル(下)が激突。(C)Getty Images

 チャンピオンズリーグ(CL)のファイナルは、フランスのパリ・サンジェルマンとイタリアのインテル・ミラノによって争われる。ともにアメリカで開催されるFIFAクラブワールドカップ(CWC)に参加するが、その前に欧州王者の称号をどちらが手に入れるのか。

 パリSGは昨シーズンのベスト4で、これまで2019-20シーズンの準優勝が最高成績だった。前回・準優勝のインテルは"グランデ・インテル"と呼ばれた1960年代の前半に二度の欧州制覇を成し遂げているが、今回優勝を飾れば2009-10シーズン以来、15年ぶりのビッグイヤー獲得となる。

 ルイス・エンリケ監督が率いるパリSGは圧倒的な強さでリーグアン4連覇を成し遂げた一方で、大会方式が新しくなったCLに関しては、スタートから順風満帆とは行かなかった。リーグフェーズの第2節で、イングランドのアーセナルに0-2で敗れると、第4節にはスペインのアトレティコ・マドリーに1-2と競り負け、さらにドイツ王者のバイエルン・ミュンヘンにも0-1で敗戦と危機的な状況となった。

 それでもラスト3試合で、マンチェスター・シティに勝利するなど3連勝で何とかプレーオフラウンドに滑り込むと、同じリーグアンのブレストを相手に、合計スコア10-0という衝撃的な結果でラウンド16に勝ち進む。

 ラウンド16はリーグフェーズ首位のリバプールをPK戦の末に下すと、アストン・ビラ、アーセナルとプレミア勢を立て続けに破ってファイナルに駒を進めてきた。キリアン・エムバペ、リオネル・メッシ、ネイマールの"ビッグ3"を擁した当時のような個の破壊力はないが、L・エンリケ監督らしいコレクティブな組織力を強みにしている。

 4-3-3をベースにバランス良くボールを動かして、10番を付けるフランス代表のウスマン・デンベレに良い形でフィニッシュさせるのが、勝利の方程式だ。

 デンベレと言えば、6シーズンを過ごしたバルセロナ時代のサイドアタッカーとしてのイメージがいまだに強いかもしれないが、昨シーズンに加入したパリSGでは押しも押されもせぬフィニッシャーとして新境地を開拓しており、今季のリーグアンでは21ゴールをマーク。CLでも8得点とまさにエースの輝きを見せている。

 もちろんアシスト能力も高く、相手ディフェンスのマークがデンベレに集中しても、左ウイングのブラッドリー・バルコラにゴールを決めさせるなど、アタッカーとしての成熟を感じさせる。
 
 デンベレがパリSGをCL決勝に導く原動力なら、冬の移籍市場でナポリから加入したジョージア代表フビチャ・クバラツヘリアは新たな推進力となった。

"クバラドーナ"の異名を取るサイドアタッカーによってフィニッシュが多彩になり、ポルトガル代表MFビティーニャを起点とした攻撃も相手にとって、かなり的を絞りにくい陣容となっている。

 さらに5月10日のモンペリエ戦でハットトリックを達成したポルトガル代表FWゴンサロ・ラモス、19歳の新鋭デジレ・ドゥエ、韓国代表イ・ガンインなど攻撃のカードは揃っており、90分、120分の戦いで十分な火力を発揮できるだろう。

"ビッグ3"より前線の選手を交代しやすい分、フレッシュなアタッカーが次々と送り込まれてくるので、相手にとっては厄介かもしれない。

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