【社長・細貝萌の生き様】トップに正式就任。日本を代表する経営者と共に「30代の自分が近くで働けることは本当に幸運」

2025年05月28日 元川悦子

「一番感じるのは、常に冷静で落ち着いているということ」

「より責任が増したなと強く感じました」。“代行”から正式に就任した細貝社長。写真:元川悦子

 2025年のJ3は約3分の1を消化し、5月18日時点ではJFLから昇格したばかりの栃木シティが首位に立っている。

 昨季まで5年連続J2に在籍し、今季からJ3に戦いの場を移した降格組のザスパ群馬は13位と苦戦を強いられている。それでも内容的には徐々に良くなっており、今後の浮上が期待されるところだ。

 その群馬だが、4月25日に行なわれた第22回定時株主総会および取締役会で、細貝萌社長代行兼ゼネラルマネージャー(GM)の代表取締役社長就任が正式に決定。名実ともにクラブトップの1人となった。

「当日の会合は前橋商工会議所で行なわれたんですが、取締役10~15人を含む大勢の関係者が参加し、僕の社長就任を承認していただきました。最後に僕と新任取締役となったカインズの高家正行CEO、ベイシアの相木孝仁社長の3人が挨拶し、終了後の取材対応に臨む形でした。

 現役引退した昨年11月から社長代行として経営に携わっていたので、業務内容としてはそんなに変わらないんですけど、より責任が増したなと強く感じました。その重みをしっかり感じながらやらないといけないと痛感しましたね」と、細貝社長は神妙な面持ちで語っていた。

 これまで一緒にクラブを運営してきた赤堀洋会長も卓越したビジネスエキスパートだが、今回取締役に加わった高家・相木両氏も日本を代表する経営者。そういう人々の近くで社長業をスタートさせられるのは、細貝社長にとって追い風と言っていい。
 
「お二方はトップクラスの経営者で、発言から立ち振る舞いに至るまで本当にリスペクトすべきものがあります。一番感じるのは、常に冷静で落ち着いているということ。普段は気さくですが、厳しく言うべき時は言うという毅然としたスタンスでビジネスと向き合っているのが、よく分かります。

 サッカー選手を引退したばかりの30代の自分がそういう経営者の近くで働けることは本当に幸運。そういうなかで僕は多くを学びながら成長し、ベストを尽くしていく覚悟です」と細貝社長は改めて決意表明をした。

 そんなフレッシュなトップが真っ先に考えなければならないのが、経営基盤の強化だ。細貝社長の現役ラストイヤーだった2024年の群馬は、売上高が10億700万円に到達。2023年の7億9000万円から約2億円増という好結果が出た。

 しかしながら、経常利益は7173万円の赤字で、前年より5000万円近く赤字幅が増えている。ちょうど1年前の2024年5月にオープンした練習拠点・ザスパークの運営費が新たに発生。試合当日の業務委託費も値上がりし、コストが増加したことが背景にあるという。

「ただ、『売上10億円規模の企業』という観点で考えてみると、群馬県内だけでも相当数の会社があると思いますが、注目度が圧倒的に大きいと感じています。やはりプロサッカークラブは認知度が高いし、社会的な影響力も大きい。応援してくれる人たちの期待に応えないといけない組織なんだなと再認識しましたね。

 そのうえで、2025年のクラブ経営を考えてみると、J3に降格した分、Jリーグからの分配金も7000万円減りますし、観客動員を引き上げるのも難しくなる。スポンサー収入に関しては、スタッフも頑張って営業してくれているので、前年同水準を維持できるかもしれませんが、やはりザスパ―クの経費もかさむため、正直、厳しいと考えています。

 ただ、カインズとベイシアのトップが経営陣に加わったことで、経営体力の強化が期待できる。その前向きな要素も力にして、少しでも良い方向に進めるように僕自身、努力をしていきたいです」と、彼は前向きなマインドを持ち続けている。

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