ドイツ撃破の立役者グリエーズマンが語る、“トラウマ”のPKへの想いと2点目の“狙い”

2016年07月08日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

序盤はボールを引き出せずも、徐々に受けられるように。

45分にPKを冷静に決めたグリエーズマンは、72分にノイアーから今大会初めて流れの中からゴールを奪った選手となった。写真:Alberto LINGRIA

 マルセイユのヴェロドロームが舞台となった7月7日のEURO2016準決勝、ドイツ対フランス戦。「事実上の決勝戦」と謳われた試合で主役となったのは、またしてもアントワーヌ・グリエーズマンだった。
 
 ラウンド・オブ16のアイルランド戦から主戦場となった4-4-1-1のセカンドトップに入った背番号7は、6分にドリブルとワンツーで敵陣を崩していきなりフィニッシュ。しかし、その後はかなり苦しんだ。ドイツが今大会初めて4-3-3を採用し、グリエーズマンはアンカーのバスティアン・シュバインシュタイガーとCBのジェローム・ボアテング&ベネディクト・ヘーベデスに常にサンドされた状態になったため、いつものように2ライン(DFとMF)間でボールを引き出せなかったのだ。
 
 ボールに触れずリズムが掴めなかったのか、たまに前を向けてもキックやタイミングがずれ、上手く攻撃を加速させられなかった。
 
 しかし、ポジションをやや開き気味にしたことで、徐々にだが相手のSB、CB、インサイドハーフの狭間などでボールを受けられるようになる。35分には中央からのドリブル突破で直接FKのチャンスに繋げれば、41分には左サイドで惜しいシュートを放った。
 
 そして、前半終了間際にはバスティアン・シュバインシュタイガーのハンドで得たPKのキッカーに。5月28日のチャンピオンズ・リーグ決勝の失敗が頭を過ぎったに違いない場面だが、グリエーズマンは世界最高のGKマヌエル・ノイアーの逆を突いて、きっちり左上に決めた。
 
 先制してより慎重になった後半のフランスは、さらに受け身の態勢になり、グリエーズマンも守備に追われる時間が長くなる。
 
 しかし、一瞬の隙を見逃さなかった。72分、敵ゴール前でベネディクト・ヘーベデスが出した安易なパスを見逃さずカットしたフランスは、左サイドからポール・ポグバがクロスを供給。そして、オリビエ・ジルーがノイアーと競り合った後のこぼれ球が、グリエーズマンの前に。これを冷静に左足で押し込んだ。
 
 このままフランスは世界王者ドイツを2-0で下し、優勝を果たしたEURO2000以来、4大会ぶりの決勝進出を果たした。その最大の立役者がグリエーズマンであることには、疑問を挟む余地がない。
 
 92分に時間稼ぎのためにベンチに下がる際には、ヴェロドロームを埋めたフランス国民から「グリエーズマン! グリエーズマン!」の大合唱が巻き起こった。

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