前橋育英が誇る“プロ注目ボランチ”柴野快仁を変えた自己分析力。名将も称える圧倒的パフォが引き出された理由

2025年05月12日 松尾祐希

川崎U-18戦で圧巻アシスト

前橋育英のMF柴野。Jクラブからも熱視線を注がれている。写真:松尾祐希

 川崎フロンターレU-18戦のMF柴野快仁(3年)は別格だった。
 
 松田直樹(元横浜FMほか)らを日本代表に送り込んできた前橋育英の山田耕介監督は、試合後の口数が少ないことで知られる。だが、柴野のパフォーマンスに対しては珍しく饒舌で、「相手もえ?え?え?って感じ。ボールが取れないですよね」と振り返り、賛辞を惜しまなかった。

 5月11日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグEASTの第7節。前橋育英はホームで川崎U-18を迎え撃つと、前半から相手を押し込む。その中心にいたのが柴野だった。

 4−2−3−1の布陣で、中盤の底を任された背番号13は積極的にプレー。パスを散らすだけではなく、持ち前のキープ力とドリブル突破も冴え渡った。3列目から持ち運んでいく推進力は圧巻で、素晴らしかったのは3点目のアシスト。得意とする運び出しと苦手だった守備面が噛み合ったシーンだった。

 2−0で迎えた40分、柴野は高い位置でボールを回収。そこから前に運んでうまくDFを外すと、左サイドから斜めに走り込んできたMF瀬間飛結(2年)へラストパスを送った。タイミングはドンピシャ。攻守で違いを生み、後輩のゴールをお膳立てした。

「課題は守備」と山田監督から指摘されていたように、以前の柴野は攻撃で良さを発揮できても、球際の強度やこぼれ球の回収を不得意としていた。しかし、5月6日に行なわれた第6節の流経大柏戦(1−1)から柴野は手応えを感じていたと言う。

「セカンドボールを拾えていなかった。準備不足でうまくできていなかったけど、前節の流通経済大柏戦から自分がもっと拾っていく意識が強くなった。攻撃のテンポを作る前の準備として、自分がやらないといけない。そこをポイントにしたので、こぼれ球をうまく拾えた」
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 川崎U-18戦では、後半も守備で貢献。押し込まれる時間帯が続いた後半20分過ぎからは5−4−1のシステムで守りを固める策をとると、柴野は最終ラインの前で防波堤となった。出足の鋭いプレスで相手に自由を与えない。「ボランチは本来守備がメイン」と言い切ったように率先して汗をかき、攻守でチームに貢献できる新たな姿を見せ、3-1の快勝に貢献した。

 自らを客観視し、課題があると思えば、変化を恐れずにトライをしていく。その自己分析力はディフェンス面以外でも発揮されている。キレのある動きを見せている背景には、減量の成果もあったという。

「自分は太りやすい体質。何もしなければすぐに体重が増えるので、プレミアリーグが始まる前に体重を少し軽くしたんです」

 上半身の筋力アップを図りながら、食事管理で減量を敢行。試行錯誤しながら自身のベスト体重を探り当て、見違えるように身体が動くようになった。

 入学した当初は一番下のカテゴリーからスタート。昨年の今頃はBチームの一員としてプリンスリーグ関東1部を戦っていた。地道な積み重ねで昨夏にAチームに昇格すると、昨年度の選手権優勝にも貢献。今ではJクラブから熱視線を注がれるまでになった。しかし、注目を集める状況下でも柴野は冷静さを失っていない。

「性格的には高卒でのプロが向いているとは思う。でも、練習に参加してプロでどれだけやれるかを見て、最終的な進路を決めたい」

 現状では高卒プロの可能性もあるが、大学進学も視野に入れている。どのような結論を出すのか。どこまでも冷静に自分を分析する前橋育英の有望株は、さらなる成長を目ざしてピッチに立ち続ける。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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