【磐田】“名波イズム”の体現者・宮崎智彦が説くスタイル貫徹の重要性

2016年07月07日 小田智史(サッカーダイジェスト)

その卓越した戦術眼は「サッカーをよく知っている」と名波監督も絶賛する。

宮崎は名波監督の寵愛を受ける選手のひとり。卓越した戦術眼で攻守のバランスを取り、チームを機能させる。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 名波浩監督率いる磐田において、攻撃を牽引する小林祐希を「光」に例えるなら、中盤で攻守のバランスを取る宮崎智彦は「影」だろうか。その役割は、決して華やかではない。しかし、「影があるからこその光」とはよく言ったもの。「サッカーを知っている」と指揮官も絶賛する卓越した戦術眼でチームを機能させているのは、紛れもなく身長170センチの小さなボランチである。
 
 もともと左SBが本職だが、左足の正確なキックを生かしたビルドアップと局面に顔を出す攻撃センスを買われて、2014年にボランチへコンバートされた。新たなポジションに可能性を見出し、現在確固たる地位を築いている点では、同じく名波監督の信頼が厚い小林(ボランチ→トップ下)とも通ずる部分がある。宮崎は「監督から求められる役割をどうピッチで表現しているか」についてこう説明する。
 
「僕はストライカーじゃないし、自分でドリブル突破してチャンスメイクする選手でもない。監督もチームメイトもそれを理解してくれているなかで求められているのは、周りを助けるようなカバーリングだったり、声で全体を鼓舞する部分。目立たないかもしれないけど、さりげないパスでも(受け手が)前を向けるようなコースやタイミングは練習から意識しているし、チームがバラバラにならないように全体をコンパクトに保つことは常に心掛けています」
 
 前節の第2ステージ初戦に向けた練習では、3-4-2-1の左WBに入って汗を流した。最終的に広島戦ではボランチでの出場となったが、複数のポジションに対応できるポリバレント性が名波監督の選択肢を増やしているのは言うまでもない。
 
「どこで使われようが、チームのために自分の力を注ぐだけです。あまり(ポジションに)こだわりはありません。左サイドで出た形をシュミレーションしたなかでの練習だったので、プレーの幅を広げる意味でプラスだし、チームのプランも増えていくと思います。どこで使われても存在感というか、チームを引っ張っていくような選手にならないといけない」

次ページ「相手に合わせるのではなく、自分たちのスタイルを貫かないといけない」

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